原子力情報 The information of Nuclear Power

東通原子力発電所における津波に対するこれまでの安全性の確認状況について

平成23年10月27日

 東通原子力発電所における津波に対する安全性の確認は、原子炉設置許可(平成8年)以降、学会等で発表された津波に関する知見等を踏まえ、適宜実施しております。

 

 東通原子力発電所原子炉設置許可申請では、過去に発生した様々な津波について、文献調査、現地調査、数値シミュレーションにより検討を行い、最高水位を標高6.5mと評価し、地盤条件や建屋条件等を総合的に勘案し、原子炉建屋等の主要施設を設置する敷地高さを標高13.0mといたしました。

 また、当社では、平成14年に刊行された「原子力発電所の津波評価技術」(平成14年2月 土木学会)(以下、「土木学会手法」と記す。)に基づいて試算した結果、想定される津波の最高水位は標高8.8mであり、東通原子力発電所の安全性に問題がないことを確認しております。

 

 当社では、これらの評価に加え、隣接する東京電力株式会社東通原子力発電所に関する国の審議状況を踏まえ、平成22年10月12日から平成23年3月11日まで、当社東通原子力発電所敷地内において、津波による堆積物の調査(地層をボーリングにより掘削)を自主的に実施し、海から運ばれて堆積した可能性のある砂の層が、標高8m付近まで分布していることを確認いたしました。

 この砂の層が過去の津波によるものかどうか不明ではあるものの、仮に津波によるものと想定しても、土木学会手法に基づいて試算した想定津波の最高水位(標高8.8m)を上回るものではなく、発電所の敷地高さ(標高13.0m)に十分な余裕があることを確認いたしました。

 

 なお、当社では、平成23年東北地方太平洋沖地震により発生した津波に関する情報を収集し、現在、安全性の評価を実施しております。今後、その評価結果に基づき、必要に応じて適切な措置を講じ、今後とも、発電所の津波に対する安全性の向上を図ってまいります。

 

 これまでに実施した、津波に対する主な安全性の確認内容は以下のとおりです。

 

 【津波に対する主な安全性の確認内容】

(1)原子炉設置許可申請(平成8年)時における安全性の確認

 当時の安全設計審査指針を踏まえ、最新知見を反映した様々な文献により、1611年(慶長16年)、1763年(宝暦13年)、1856年(安政3年)、1896年(明治29年)、1933年(昭和8年)1968年(昭和43年)等の津波の規模、敷地と波源域の位置関係及び痕跡高等の調査を行いました。そのなかで、敷地に与える影響が最大と想定される1856年(安政3年)の津波について、数値シミュレーションを行い、敷地における最高水位を標高6.5m程度と評価し、地盤条件や建屋条件等を総合的に勘案し、原子炉建屋等の主要施設を設置する敷地高さを標高13.0mといたしました。

 また、青森県下北半島東岸(東通村)には、かつて大津波によりヒバの森林が砂に埋もれた等の伝承が残されていることから、これら伝承の信憑性を検証するため、現地調査を実施いたしました。調査の結果、ヒバの森林が砂に埋もれた要因は、年代測定によるヒバの死滅時期と調査による砂丘の形成年代が対応することから、大津波によるものではなく、砂丘の形成過程の中で埋もれたものと考察しております。なお、詳細な調査結果の内容については、公表しております。

※:「下北半島における津波の伝承の解釈と埋没ヒバ林の成因」千釜ほか、地震、第51巻(1998)61-73貢

 

(2)「原子力発電所の津波評価技術」に基づく安全性の確認

 平成14年に土木学会手法が刊行されたことを受け、同手法に基づいた津波の評価を実施いたしました。

 土木学会手法は、過去に発生した最大規模の津波をベースとして、波源の位置や向きなどを変えながら、発電所敷地に最も大きな影響を与える津波を試算することにより、発電所の安全性を確認するものです。

 同手法に基づいて、想定される津波の最高水位を試算した結果、津波の最高水位は標高8.8mであり、東通原子力発電所の安全性に問題がないことを確認いたしました。なお、本評価結果については、国へも情報提供しております。

 

(3)津波堆積物に関する調査による安全性の確認

 隣接する東京電力株式会社東通原子力発電所に関する国の審議状況を踏まえ、平成22年10月12日から平成23年3月11日にかけて、津波に対する安全性評価に資する基礎データを得ることを目的に、当社東通原子力発電所敷地内において津波による堆積物の調査(ボーリング調査)を自主的に実施いたしました。調査の結果、海から運ばれて堆積した可能性のある砂の層が、標高8m付近まで分布していることを確認しました。

 この砂の層が過去の津波によるものかどうか不明ではあるものの、仮に津波によるものと想定しても、土木学会手法に基づいて試算した想定津波の最高水位(標高8.8m)を上回るものではなく、発電所の敷地高さ(標高13.0m)に十分な余裕があることを確認いたしました。

 

※当社発電所敷地内における津波堆積物に関する調査および東京電力株式会社が平成22年度に実施した下北半島沿岸における津波堆積物に関する調査については、調査結果を両社で共有しております。

 

以 上