当社女川原子力発電所1号機(沸騰水型、定格電気出力52万4千kW:宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)については、定格熱出力一定運転中のところ、本日、定期的(1回/月)に実施する低圧注水系※2弁手動開閉試験において、第1隔離弁(A系)※3の開閉試験を行い、第1隔離弁バイパス弁(A系)※4を全開にし、第1隔離弁(A系)の動作を確認しました。
その後の復旧過程において、第1隔離弁バイパス弁(A系)の全閉を確認できず、定期試験を終了できなかったことから、10時51分、保安規定第39条に定める運転上の制限を満足しないと判断いたしました。
低圧注水系1系列が運転上の制限を満足しない場合には、代わりに原子炉を「冷やす」機能が確保されていることが要求されるため、残りの1系列について動作可能であることを確認しました。
今後、第1隔離弁バイパス弁の状況調査を実施してまいります。
なお、排気筒モニタ、放水口モニタ、モニタリングポストに変化はなく、本事象による発電所周辺への放射能の影響はありません。
以 上
※1 運転上の制限
安全機能を確保するため、予備も含めて動作可能な機器(ポンプ等)の必要台数や、原子炉の状態毎に遵守すべき温度や圧力の制限を定めているものであり、保安規定第39条は、非常用炉心冷却系の要求事項について定めたもの。
低圧注水系1系列が運転上の制限を満足しない場合には、代わりに原子炉を「冷やす」機能が確保されていることを速やかに確認するとともに、10日以内に動作可能な状態に復旧することと定めている。
※2 低圧注水系
非常用炉心冷却系の一部で、原子炉内の水位が異常に低下するなどの事象が発生した時に原子炉に給水するための設備で2系列設置されている。
なお、非常用炉心冷却系としては、他に「高圧注水系」「炉心スプレイ系」「自動減圧系」がある。
※3 第1隔離弁
気体や液体が、通常流れる方向から逆方向に流れるのを止めるための弁であって、開閉試験が可能なもの。
※4 第1隔離弁バイパス弁
第1隔離弁の両側には圧力差があることから、この圧力差を無くし、第1隔離弁を開動作できるようにするための弁。第1隔離弁の開閉試験時のみ使用する弁。