当社女川原子力発電所2号機(沸騰水型、定格電気出力82万5千kW:宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)については、定格熱出力にて運転中でありますが、本日、定期的(1回/月)に実施する低圧炉心スプレイ系※2(以下、「LPCS」という。)弁手動開閉試験において、LPCS注入ライン試験可能逆止弁均圧弁※3の開度表示が全開にならず、LPCS注入ライン試験可能逆止弁※4(以下、「当該弁」という。)が動作可能であることが確認できなかったことから、13時37分頃、保安規定第39条に定める運転上の制限を満足しないと判断いたしました。
その後、本来、LPCS注入ライン試験可能逆止弁均圧弁の全開信号で当該弁が試験的に動作させるしくみになっていることから、15時19分にLPCS注入ライン試験可能逆止弁均圧弁の全開信号を模擬し、当該弁が正常動作することを確認しました。
低圧炉心スプレイ系が動作不能の場合には、代わりに原子炉を「冷やす」機能が確保されていることが要求されるため、低圧注水系3系列について動作可能であることを確認中です。
今後、LPCS注入ライン試験可能逆止弁均圧弁が開動作しなかった原因を調査してまいります。
本事象による発電所周辺への放射能の影響はありません。
以 上
※1 運転上の制限
保安規定では原子炉の運転状態に応じ、「運転上の制限」などが定められており、保安規定第39条は、原子炉の状態が運転、起動および高温停止における非常用炉心冷却系への要求事項について定めたもの。
※2 低圧炉心スプレイ系
非常用炉心冷却系の一部で、原子炉冷却材喪失事故時に原子炉に給水するための設備。
なお、非常用炉心冷却系としては、他に「高圧炉心スプレイ系」「低圧注水系」「自動減圧系」がある。
※3 試験可能逆止弁均圧弁
逆止弁の両側には圧力差があることから、この圧力差を無くし、逆止弁を開動作できるようにするための弁。逆止弁の開閉試験時のみ使用する弁。
※4 試験可能逆止弁
気体や液体が、通常流れる方向から逆方向に流れるのを止めるための弁であって、開閉試験が可能なもの。