原子力情報 The information of Nuclear Power

放射線管理区域内で就労する従業者の管理の徹底に関する原子力安全・保安院からの指示文書に基づく報告について

平成20年 6月18日

 当社は、原子力安全・保安院からの指示文書「放射線管理区域内で就労する従業者の管理の徹底について(平成20年6月5日付)」を受け、従業者の身分確認等を行ってまいりました。

 本日、調査結果を取りまとめ、原子力安全・保安院へ報告いたしました。

  調査結果の概要は以下のとおりです。

 

1.放射線管理区域の内において就労する者の身分確認の仕組みおよびその確認結果について

(1)調査方法

     女川原子力発電所および東通原子力発電所の放射線管理区域内で就労する際の、放射線業務従事者の指定および管理区域立入許可申請手続きを確認し、身分確認の仕組みおよび運用状況を確認しました。

(2)調査結果

     a.身分確認の仕組み

      放射線業務従事者の指定および管理区域立入許可の申請手続きでは、放射線業務従事者の指定および管理区域立入許可の申請をする際に提出する申請書(以下、「申請書」という。)および放射線管理手帳を提出することとしており、申請者(元請会社)からの申請に対して、「申請書」の記載内容と放射線管理手帳の記載内容を照合し、同一であることを確認していました。

     b.確認結果

      当社においては、放射線管理手帳が本人であり18歳以上であることが確認できる書類と捉えており、放射線管理手帳に記載されている個人識別情報に偽りがある場合、それが偽ったものであるかどうか判断できる仕組みになっていませんでした。
     

    ※ 放射線管理手帳の発行にあたっては、雇用主が公的資料から本人であること、18歳以上であることを確認したうえで手帳発効機関に申請することとしている。

 

2.今回発生した事案と同様の事案の発生の有無について

(1)調査方法

     a.調査対象者

      平成20年6月4日時点で、女川原子力発電所および東通原子力発電所で放射線業務従事者として指定中の者(ただし社員(当社が受け入れている出向者以外)は身分が明らかであるため除く。)とし、延べ2,607名(99名は、女川原子力発電所、東通原子力発電所の両方で指定しているため、実人数は2,508名)について調査しました。(表1参照)

     b.身分確認方法    

      調査対象者の身分を証明する書類のうち、写真付きの書類である運転免許証、パスポート等の原本、それらの書類がない場合は健康保険証や住民票等の原本1つと、「申請書」および放射線管理手帳に記載の氏名、生年月日に偽りないか確認を行いました。確認は各元請会社にて実施し、当社は元請会社から確認結果を記入したリストを提出してもらいその内容を確認しました。また、これとは別に、当社は、確認状況を確認者に聞き取り調査するとともに、運転免許証、パスポート以外で確認をした20歳以下の者について改めて身分確認調査を行いました。なお、社員(当社が受け入れている出向者)については当社で確認しました。

(2)調査結果

      調査対象者の身分確認を行った結果、身分(年齢)を偽った者が放射線管理区域内で就労していた事案は確認されませんでした。(表1参照)

      なお、他社において今回の事案と同様18歳未満の者1名が放射線業務に従事していたとの情報提供があり、平成20年6月4日時点では放射線業務従事者の指定を解除されているが、当該作業員が平成20年2月6日から2月22日まで女川原子力発電所において放射線業務従事者として指定されていたことを確認しました。

 

表1 身分確認調査結果

調査対象者数 

同様の事案

 

協力会社

社員
(出向者)   

合計

女川原子力発電所

1,424名※1※2

4名

1,428名※1※2

なし

東通原子力発電所

1,171名 ※1 

 8名 

1,179名※1

なし

合計

2,595名※1※2

12名

2,607名※1※2

    ※1 うち99名は、女川原子力発電所、東通原子力発電所の両方で指定している。

    ※2 うち1名は遠方におり、原本による身分確認ができていない。(運転免許証のコピーによる確認はできている。)当該者については、次の管理区域立入り前までに原本による確認を実施し、その結果を当社に報告するよう依頼した。

 

3.従業者の管理の徹底について

  当社は、申請者が放射線業務従事者の指定手続きで提出する放射線管理手帳が、本人であり18歳以上であることが確認できる書類と捉えており、今後も放射線管理手帳が身分確認のための重要な書類であると考えております。

  しかしながら、今回このような事案が発生したことに鑑み、当社は放射線管理区域内で就労する従業者の管理の徹底を図るため、平成20年6月16日から以下の身分確認の強化を行っています。

    ・当社は、申請者(元請会社)に対して、従業者の身分(氏名、生年月日)確認を運転免許証、パスポート等の原本により行い、「申請書」および放射線管理手帳とともに、身分を確認したことを証明する記録を提出することを求める。

    ・当社は、申請者(元請会社)から提出された身分を確認したことを証明する記録により申請者(元請会社)が身分確認を行っていることを確認したうえで、「申請書」の確認を行う。また、当社は、適宜確認状況を確認者に聞き取り調査するとともに、抜き取り調査を行い、適正に確認が行われていることを確認する。

  なお、平成20年6月5日から平成20年6月15日の期間において、新たに放射線業務従事者として指定した者の身分確認については、今回の調査と同様の確認方法により行っています。

  また、放射線管理手帳制度における一連の手続きにおいて本人確認をより厳格化することなど、放射線管理手帳の不正な取得を防止するための方策について、関係機関と検討、協議し、放射線管理手帳制度の改善を求めてまいります。

 

<参考> 平成20年6月5日原子力安全・保安院からの指示内容

  原子力事業者に対し、従業者の被ばく管理、身分の再確認など従業者の管理を徹底するとともに、下記事項について調査を行い、平成20年6月18日までに原子力安全・保安院へ報告すること。

    1.放射線管理区域の内において就労する者の身分確認の仕組み及びその確認結果

    2.今回発生した事案と同様の事案の発生の有無

 

以 上