トップページ > プレスリリース2019年分 > プレスリリース詳細 |
女川原子力発電所1号機原子炉建屋内における溢水に係る原因と対策について2019年 1月18日 当社は、2018年12月4日に発生した女川原子力発電所1号機の原子炉建屋内における溢水について、本事象が発生した原因および再発防止対策を取りまとめました。 本事象につきまして、地域の皆さま、関係の皆さまにご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。 今回策定した再発防止対策を確実に実施することで、同様の事象を発生させないことはもとより、社員の現場での対応能力(現場力)のより一層の向上に取り組むことで、原子力発電所の安全に万全を期してまいります。 原因および再発防止対策等の概要は以下のとおりです。 【事象の概要】 2018年12月4日11時09分頃、女川原子力発電所1号機原子炉建屋地下1階(放射線管理区域内)にある原子炉隔離時冷却系ポンプ室非常用空調機エリア※1において、排水用の溜め升より水が溢れ出していることを当社社員が確認した。 また、同エリアの真上にある1階通路および真下にある地下2階原子炉隔離時冷却系ポンプ室においても溢水していることを確認した。 本事象は、復水補給水系※2の点検終了に伴い、当社社員が当該系統に再度水を満たす作業(以下、水張り作業)を行っている時に、当該作業において「開」となっていた弁(以下、当該弁)からの排水量が多かったことから、排水しきれなかった水が溜め升等より溢れ出たもので、溢水量は約900リットル、放射能濃度は検出限界未満であった。 なお、溢れ出た水は全て原子炉建屋内に留まっており、周辺環境への影響はない。 【溢水に至った経緯】 当該弁は、通常は「全閉」運用であり、今回の復水補給水系の点検に伴う当該系統内の水抜き作業時においても、作業実施時から終了時まで「全閉」としておく計画であった。 その後、効率的に水抜きを実施するため、水抜き箇所の追加を検討し、当該弁について、水抜き作業時に「全開」、点検終了後の水張り作業前に「全閉」とするよう、安全処置※3の変更を行ったうえで、水抜き作業を実施した。 本事象は、以下の原因により、点検終了後の水張り手順を作成する際、「安全処置の変更が反映されていない手順を作成したこと」および「水張り作業実施前後の状態が「全閉」で変わらないと認識していた当該弁については、水張り作業実施後に状態確認を行う手順としたこと」により、本来、水張り作業実施前に「全閉」とすべき当該弁が「全開」状態のままとなり、溢水に至ったものである。 【事象発生の原因】 ・運転部門では、水抜き・水張り作業時における弁や機器の状態の管理に、「安全処置リスト」や「水抜き範囲を色塗りした系統図」(以下、色塗り系統図)を用いている。 ・安全処置の変更を反映した「色塗り系統図」については、中央制御室で保管管理することはルール化していたが、「原子力保修作業管理システム※4」(以下、当該システム)への登録についてはルールが明確になっていなかった。 ・このため、水抜き手順を作成した社員Aは、安全処置の変更を反映した「色塗り系統図」を当該システムに登録しなかった。 ・運転部門では、手順の作成・確認に使用する資料や確認方法について明確に定めていなかったため、水張り手順を作成した社員Bは、当該システムに登録されている情報が最新だと考え、当該システムから出力した安全処置の変更を反映した「安全処置リスト」および安全処置の変更が反映されていない「色塗り系統図」のうち、「色塗り系統図」での確認を優先した。 ・そのため、「安全処置リスト」と「色塗り系統図」で当該弁の状態が相違していることに気づかず、安全処置の変更が反映されていない水張り手順を作成した。 ・運転部門の管理職A、管理職Bは、社員Bが作成した水張り手順と、安全処置の変更が反映されていない「色塗り系統図」の整合性を主に確認したため、当該弁の「全閉」操作が水張り手順に入っていないことに気づかなかった。 ・水張り作業実施時における安全処置対象弁の確認方法が明確になっていなかったため、社員Bは、水張り作業実施前後の状態が「全閉」で変わらないと認識していた安全処置対象弁は水張り作業には影響しないと考え、水張り作業実施後に確認する手順を作成した。 ・このため、水張り作業実施前に当該弁の状態確認が行われず、実際には「全開」状態であることに気づかなかった。 【再発防止対策】 上記の原因に対して、以下の再発防止対策を講じる。 ・運転部門は、最新の安全処置内容を反映した色塗り系統図(変更日および改訂番号で識別)について、中央制御室に保管するとともに当該システムに登録する。 ・運転部門は、水張り・水抜き手順を作成する際に、最新の「安全処置リスト」および最新の「色塗り系統図」を照合する。 ・運転部門の管理職は、水張り・水抜き手順を確認する際、上記(1)、(2)の対応が実施されていることを確認する。
・運転部門は、水張り作業実施前後で弁の開閉状態が変わらない場合でも、水張り作業実施前に安全処置リストに記載された弁の開閉状態を全数確認する。 【現場力の向上に向けた取り組み】 本事象の発生原因の分析により、今回、運転部門における一部の業務プロセスに不明確な点があったことが判明したが、一方、過去に数多くの類似作業を実施してきたことについては、これまで長年にわたって培ってきた運転経験の積み重ねに基づく現場の対応能力(いわゆる「現場力」)によるものも大きいと分析している。 当社としては、今回策定した再発防止対策である業務プロセスの明確化のみにとどまらず、「現場力」のより一層の向上にも取り組んでいく必要があると考え、運転部門において以下の取り組みを行う。 1.作業全体を取りまとめる専任のリーダーを配置し、作業管理および中堅社員から若手社員への指導体制の強化を図る 以上 ※1 原子炉隔離時冷却系ポンプ室非常用空調機エリア
|