当社は、本日、第5回「原子力のあり方に関する有識者会議」を開催しましたので、その概要について以下のとおりお知らせいたします。
本会議は、原子力全般にわたる課題に関して、社外の有識者の方々から幅広くご意見・ご助言をいただくことを目的に、平成23年10月に設置したものです。
本日の会議では「女川原子力発電所 地震後の設備健全性確認点検記録の不備について」をテーマに、委員の方々からご意見・ご助言を頂戴しております。
当社といたしましては、本会議におけるご意見・ご助言の内容を踏まえ、実効ある再発防止対策を策定してまいります。
【第5回「原子力のあり方に関する有識者会議」開催結果の概要】
●開催日時 平成27年2月24日(火)10時00分〜12時20分
●開催場所 東北電力本店ビル
●出席者 別紙のとおり
●テーマ 「女川原子力発電所 地震後の設備健全性確認点検記録の不備について」
●概要
会議では、海輪社長からの挨拶の後、当社より「女川原子力発電所 地震後の設備健全性確認点検記録の不備について」説明し、出席委員の方々よりご意見・ご助言をいただいた。
本会議における社長の挨拶要旨および出席委員の方々からの主なご発言は以下のとおり。
【社長挨拶要旨】
- 当社原子力発電所は、2011年3月11日の東日本大震災以後、全機停止中ですが、現在、女川2号機、東通1号機について、原子力規制委員会に新規制基準の適合性審査を申請中であります。現時点では、未だ審査が終了する見通しは立っておりませんが、原子力にとって安全性の確保は何よりも重要であり、当社として真摯に対応してまいりたいと存じます。
- また、原子力の安全性を高め、地域の皆さまの信頼を得るためには、規制基準に留まることなく、常に最新知見を取り入れ、自主的な安全対策を上積みすること、さらに「どんなに安全対策を講じても想定外の事象は起こりうる」という認識の下で、関係者との間でリスクコミュニケーションを実践し、相互理解を深めるとともに、実際の安全対策等に反映していくことが重要であると考えております。
- このような活動を進めるにあたって、有識者会議の皆さまには、これまでも適切なアドバイスを頂戴し、その都度当社の活動に反映させていただいております。この場をお借りして、あらためて御礼申し上げます。
- さて、このように全社体制で原子力の安全への取組みを進めている中で、今般、大変残念な事象が発生いたしました。それは、本日のご報告テーマ「女川原子力発電所の点検記録不備問題」であります。
- 女川原子力発電所では地震後の設備健全性を確認するため、特別な点検をこれまで継続的に実施してきたところですが、昨年9月の保安検査におきまして、2号機の点検記録に一部不備があるとの指摘を受けました。その後、私どもで記録の全数を調査したところ、4,000件を超える大量の記録不備が確認されました。
- 不備の内容につきましては、点検個所や数値の誤記・記載漏れ、記載の修正方法が不統一、記載手順の確認不足など「記録上の不備」であり、実際の点検そのものは適切に実施されていることを確認しております。
- しかしながら、私といたしましては、これは「単なる記載ミスという問題に留まらないのではないか、組織上、運営上の問題がなかったか」という視点でとらえるべきと考え、直ちに、原子力部門に留まらず全社による調査体制の構築を指示し、現在、直接的な原因に加え、その背景となった要因分析や再発防止対策の検討を進めているところであります。
- 私が特に危惧しているのは、今回の特別点検には、当社のみならず協力会社など多くの関係者が関与しているにもかかわらず、国の保安検査を受けるまで、当社自らが問題に気づき、直すことができなかった点であります。業務遂行にあたって品質保証という視点が弱かった可能性があり、このことを重く受け止め、深く反省しているところです。
- 本件のような事象が起これば、地域の皆さまにご心配をおかけするとともに、私ども原子力事業者への信頼を大きく損なうことになります。私どもは、今回の事象を真摯に反省し、しっかり対策を実行して改善してまいりたいと思います。
- また、「できることから直ちに実行する」という趣旨で、記録作成についての緊急的な対策は既に、指示、実施済みでありますし、この3月には品質保証や内部監査の人的強化を行う予定にしております。
- 本日は、本件に係る当社の取組み、特に、今回のような問題に対して、当社自らが気づき、直す行動を強化し、教訓を風化させないための留意点などについて、先生方から忌憚のないご意見、アドバイスを頂戴したいと存じますので、よろしくお願いいたします。
【出席委員の方々の主なご発言】
- 東北電力は「気づく」「話す」「直す」との方針のもとで企業倫理・法令遵守、安全文化に関する取り組みを行っているが、今回の件では「話す」ことが不足していたのではないかと思われるので「話す」を深化させる取り組みが必要である。また、突発業務に適切に対応するという観点では、対応する者が、プロの技術者としての経験を生かし、慢心することなく、新たにスタンダード(基準)を作り上げていくという意識で対応することが必要である。
- 再発防止対策の検討にあたっては、一般的に「遠慮」や「前例主義」という要因から「話す」ことの難しさがあるということを認識しておく必要がある。
- 再発防止対策の実施にあたっては、その目的や趣旨を現場の方の認識として浸透させることが重要である。意識の浸透を行う仕組みとしては教育を活用することが考えられる。社内には「あのような人になりたい」と思わせる人材がいるはずであり、教育を通じてその人の思いを社内に浸透させることで、仕事への喜びを日常的に感じられるようになれば現場が強くなるはずである。
- 再発防止対策を進めていく上で、「課題を掘り下げていく」という現場の方への動機付けとコミュニケーションの促進が非常に重要である。この場での経営層の問題意識を現場までしっかりと浸透させてほしい。
- どんな現場であっても、多くの人が関わっている場合には「ルール」を徹底することは大変なことである。このため、チェック機能を強化していくことも必要である。
- 再発防止対策を策定する過程の中で、このような場を設け意見を取り入れようとする東北電力の企業姿勢は大事である。
- 原子力においては、高い安全性を確保することはもとより、品質保証にしっかりと対応し、社会に対する説明責任を果たすということも仕事の本質の一つである。こうした意識をしっかりと持って仕事にあたることがプロの技術者としての責任であることを強く意識してほしい。
以上
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