プレスリリース

第3回「原子力のあり方に関する有識者会議」の開催結果について

平成25年 6月 3日

 当社は、本日、「原子力のあり方に関する有識者会議」を開催いたしましたので、その概要について以下のとおりお知らせいたします。

 本会議は、これからの原子力のあり方といった大きなテーマを見据え、原子力全般にわたる課題に関して、社外の有識者の方々から幅広くご意見・ご助言をいただくことを目的に設置したものです。

 第3回目となる本日の会議では、「国内外の専門機関からの評価とその対応について」「震災から得た教訓と課題に係る発電所員からの発表について」をテーマに、委員の方々からご意見・ご助言を頂戴しております。

 

【第3回「原子力のあり方に関する有識者会議」開催結果の概要】

●開催日時  平成25年6月3日(月)14時00分〜17時00分

●開催場所  東北電力本店ビル

●出 席 者   別紙のとおり

●テ  ー  マ  「国内外の専門機関からの評価とその対応について」

                  「震災から得た教訓と課題に係る発電所員からの発表について」

●概   要

 会議では、海輪社長からの挨拶の後、第一部では当社より「国内外の専門機関からの評価とその対応」について説明し、出席委員の方々よりご意見をいただいた。また、第二部では第2回会合(平成24年12月5日開催)において、当社が取り組んでいる重点課題として掲示したテーマ「社会とのコミュニケーション」「組織・風土」「人材育成」「安全対策」に基づき、発電所員よりそれぞれ現在の職場での業務を通じて抱えている悩み、意見を中心に紹介し、出席委員の方々からご意見をいただいた。

 本会議における社長の挨拶要旨および出席委員の方々からの主なご発言は以下のとおり。

 

【社長挨拶要旨】

・  第2回会合で委員の皆さまから頂戴したご意見につきましては、その後の当社の業務計画や事業活動の参考として活用させていただいております。さらに、会議以外にも一部の先生方には、当社からの要請に応じ、技術的な側面やコミュニケーションなどの視点からの専門的なアドバイス、社内講演会なども行っていただいたことについて、改めて御礼を申し上げます。

・  当社原子力発電所におきましては、東京電力福島第一原子力発電所の事故から得られた知見や新規制基準に関する議論の動向を踏まえながら、緊急安全対策やシビアアクシデント対策に加え、ハード・ソフト両面から安全性向上に向けた取り組みを進めております。

・  最近の取り組みとしては、既に公表しておりますが、女川原子力発電所については、より安全性を高め、地域の皆さまに安心いただくという観点から、当社の自主的な対策として、防潮堤を現在の約3mの高さから約15m、海抜で約29mまでかさ上げする工事を先月末に着工いたしました。また、東通原子力発電所についても、フィルター付格納容器ベント設備の工事を開始したほか、今後、免震重要棟の設置工事も開始いたします。

・  当社は、これまで行ってきた緊急安全対策やシビアアクシデント対策などの規制要求に留まることなく、後追いではなく、むしろ先取りする形でしっかりと安全対策を進めて、地域の皆さまのご理解を得てまいりたいと考えております。

・  本日の会合は、二部構成としており、第一部は「国内外の専門機関からの評価とその対応」として、女川では国際原子力機関、東通では原子力安全推進協会という国内外の専門機関から現地調査やピアレビューという形で、外部の目で客観的な評価をいただきましたので、当社がそれにどう対応していくのかについてご説明させていただき、ご意見を頂戴したいと思います。また、第二部では、「若手・中堅発電所員からの発表」として、前回の「震災から得た教訓と課題」という議論からの連続性という趣旨で、「社会とのコミュニケーション」「組織・風土」「人材育成」「安全対策」というテーマについて、現場の視点から、その取り組み状況や課題について直接お話しをさせていたただきたいと思いますので、忌憚のないご意見・ご指導をお願いいたします。

 

【出席委員の方々の主なご発言】

<第一部>「国内外の専門機関からの評価とその対応」について

■国際原子力機関(IAEA)による女川原子力発電所の耐震調査報告書の概要と今後の対応について

■原子力安全推進協会(JANSI)による東通原子力発電所のピアレビュー結果の概要と今後の対応について

■世界原子力発電所事業者協会(WANO)原子力功労者賞の受賞について

 

 「IAEA耐震調査報告書」関連

・  女川原子力発電所がIAEAから「Remarkably Undamaged(驚くほど損傷を受けていない)」との評価を受けたことを知りとても驚いた。この評価は、東日本大震災までの東北電力の様々な努力の成果であると思う。一方、東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた取り組みについては、是非とも謙虚に行ってほしい。

 

「JANSI」関連

・(設立趣旨などに関連して)東京電力福島第一原子力発電所事故によって原子力に対する国民の信頼は失われたことから、その信頼回復に向けた取り組みが何よりも必要なことは電力各社が認識していると思うが、その具体策がなかなか見えてこない。そうした中で、JANSIの設立の背景やピアレビューの考え方・仕組みについて、内々の評価にせず、可能な範囲で国民に知らせていかなければ、信頼回復に向けた大きなチャンスを失うことになるのではないか。

・(ピアレビューで教育訓練について「要改善事項」と指摘されたことについて)東北電力が人材を「どのように育成し」「どのように評価し」そして「社会に輩出しているのか」ということである。人を丁寧に扱う会社は、機械も丁寧に扱う会社であると社会は認識する。このような観点から、人材育成に関する説明は丁寧に行うべきである。

 

<第二部>「震災から得た教訓と課題」

「全体をとおした意見」

・震災を経験したことで得られた経験や気づき、人との接し方について、社内で共有化する取り組みを行ってほしい。例えば、震災を経験して気づいたことや自分自身が変化したこと、それらに伴う業務の改善などについて、あらゆる研修・教育の場で、10分程度で良いので時間を割いて話をするべきではないか。「職場のコミュニケーションや風通しの悪さ」というのは社内において「成功・失敗・喜び・悲しみ」ということが共有化できていないことが原因である。こうしたことが共有化できれば、すばらしい会社になると思う。

 

■「社会とのコミュニケーション」について

(発電所員より、地域の方々との信頼感をいかに次世代層に継承するとともに、放射線の影響に対する正確な情報発信と理解獲得をどのように行っていくべきかなどについて発表した)

・東京電力福島第一原子力発電所の立地自治体に住んでいた方から「震災前は東京電力に厚い信頼を寄せていた」という話を聞いた。万が一、東北電力の原子力発電所で福島第一原子力発電所のような事故が発生した場合、これまで築き上げてきた地域との関係が一変してしまうということもしっかりと考慮していく必要がある。

 

■「組織・風土」について

(発電所員より、組織細分化による業務の専門化・高度化と全体最適化のバランスに関わる問題意識などについて発表した)

・組織は「共同体」という側面と「機能体」という側面を持っている。組織を細分化したことにより、業務の専門化が進むことはある意味で仕方がないこと。そうであっても最終的には皆が同じ目的のもとで同じ方向に進んでいくことができればそれで良いと思う。

・新入社員に対して最初の1年目は発電所全体の業務について教育しているとの話があった。組織の細分化というのは長く続くと弊害が出てくる。やはり要所要所で「全体」というものを見て行く必要がある。緊急時に迅速に対応できるためにも常に「全体」をしっかりと理解した上で「細分化」することが発電所全体で共有されていることが必要。

 

■「人材育成」について

(発電所員より、「発電する」達成感が得られない運転員のモチベーション低下に関わる問題意識などについて発表した)

・モチベーションは人から与えられるものではなく、自らがつくるもの。能力向上に関する「伸びしろ」がある人はきっと自分でモチベーションを作れるはずである。この件を東北電力に当てはめれば、運転は停止しているが、震災後のノウハウは自分たちで持っているはずだ。「この機会に、原子力発電所のシビアアクシデントなどの大きな事故に関するノウハウを徹底的に集約してみよう」といった気概を持つような前向きの姿勢が必要ではないか。ぜひ、頑張って欲しい。

 

■「安全対策」について

(発電所員より、これまで取り組んできた安全対策について、定量的に評価する仕組みなどの必要性などについて発表した)

・発電所内で常に安全性について議論していくことが大切。組織として非常時の体制や対応について整備していると思うが、例えば万が一、想定した設備の3分の1しか使えないといった時に、運転員などが直接現場に行かなければならない可能性があるかもしれない。こうしたときに限られた人数でどう対応するのかといったことなどについて、相互にコミュニケーションをとれば、より一層、安全に対する意識が高まるのではないか。

 

以 上

 

 

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