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第1回「原子力のあり方に関する有識者会議」の開催結果について平成23年11月 8日 当社は、本日、「原子力のあり方に関する有識者会議」を開催いたしましたので、その概要について以下のとおりお知らせいたします。 本会議は、これからの原子力のあり方といった大きなテーマを見据え、原子力全般にわたる課題に関して、社外の有識者の方々から幅広くご意見・ご助言をいただくことを目的に設置したものです。 第1回目となる本日の会議では、女川原子力発電所における安全対策の実施状況についてご確認いただいたうえで、委員の方々からご意見・ご助言を頂戴しております。
【第1回「原子力のあり方に関する有識者会議」開催結果の概要】 ●開催日時 平成23年11月8日(火) 12時40分〜16時40分 ●開催場所 女川原子力発電所 ●出 席 者 別紙のとおり ●テ ー マ 「原子力発電所における安全対策および地域の理解」 「原子力発電に関する近時の企業倫理事案」 ●概要 会議の開催前に、委員の方々に女川原子力発電所をご視察いただき、震災後に当社が進めている安全対策の実施状況についてご確認いただいた。 会議では、海輪社長からの挨拶の後、当社より、「原子力発電所における安全対策および地域の理解」および「原子力発電に関する近時の企業倫理事案」について説明。その後、出席委員の方々よりご意見を拝聴した。 本会議における社長の挨拶要旨および出席委員の方々からの主なご発言は以下のとおり。
【社長挨拶要旨】 ・ 福島第一原子力発電所事故以降、原子力を巡る環境は大きく変化し、原子力のあり方に加え、電気事業のあり方までが問われております。こうしたなか、私どもは原点に立ち返り、「原子力の信頼回復に向けて今後どうあるべきか、電力会社は地域社会との信頼関係をどのように構築していくのか」などの観点から大きく課題を捉えることが必要と認識しております。 ・ このような私の思いは、会議名の副題「更なる安全と信頼の向上を目指して」という言葉にこめられております。つまり、安全と信頼なくして原子力は成り立たないということであり、これは原子力に限らず、電力会社という企業の存立にかかわる課題であります。 ・ 今般の有識者会議においては、当社が、今後、原子力に関する信頼回復等に向けた施策の検討を深めていくために、委員の皆様から一つのテーマに限定することなく、幅広くご意見・ご助言をいただきたいと考えております。 ・ 第1回目の本日は、「原子力発電所における安全対策および地域の理解」と「原子力発電に関する近時の企業倫理事案」の2つのテーマについてご議論いただきます。電気事業者が直面している最重要課題でありますので、それぞれのお立場から、忌憚のないご意見をよろしくお願いいたします。
【出席委員の方々の主なご発言】 「原子力発電所における安全対策および地域の理解」 ・ 安全対策に関しては各機器の多様化・多重化がなされているという状況はよく分かる。一方でわかりにくいのは「プラントが今どのような状況にあるのか」という情報の流れ。情報は目に見えないので、多様化・多重化がなされているのかがわかりにくい。プラント全体の安全という観点では「情報」がとても重要である。「人」と「情報」が欠けた場合にどのような状況になるのか、長期的な視点で検討していくことが必要ではないか。 ・ 万一、新たに設置する予定の防潮堤を超える高さの津波が来た場合に、浸水してきた海水をしっかりと排水できる仕組みをつくる必要があるのではないか。そのような対策を施さなければ、「防潮堤を超えた津波」自体が、いわゆる「クリフエッジ」になり兼ねない。電力会社は各社「横並び」という傾向になりがちであるが、安全の面では競争し、より安全な発電所を目指してほしい。津波対策に関する地域住民の関心は高いと思われる。対策前後でどのように変わったのか、わかりやすい資料を作成し地域住民への広報をしてほしい。 ・ 本日発電所を視察した中で、震災時に地元住民が発電所に避難してきたとの説明を聞いて驚くとともに新鮮さを感じた。原子力発電所が一般住民を受け入れるということはとても難しく大変なことだと思う。そうした中で実際に受け入れたということはすばらしいことであり、地域としっかりと交流ができていると感じた。この点をしっかりと検証して、地域の輪をさらに広げてほしい。 ・ 地域住民としては「待たされる」「わからない」という状況が続くと不安につながる。「技術を解説する」だけでは不信感が生まれる。コミュニケーションは技術とは別なものではなく基本的問題であり、この点を解決していかなければならない。 ・ 安全の効果は見えにくいので何らかのインセンティブが必要。そのような観点で「原子力安全」は経営の中心課題であるということを社内で共有すること、また、経営の中心に据えることについて常に考えていくことが重要ではないか。 ・ 安全文化を風化させないことが重要。経営トップの強い決断により安全文化を風化させないようにしてほしい。また、安全対策の面では特に原子力発電につながる外部電源については強化してほしい。外部電源が喪失するという事態は住民の不安を増長する。
「原子力発電に関する近時の企業倫理事案」 ・ 社員が原子力に対して夢や誇りを持つことが大切である。例えば「世界一安全な発電所を目指す」、「(今後原子力建設が進む)アジアの人々が『ぜひ女川を見にきたい』というような発電所を目指す」といったスローガンのようなものが高いスタンスを保つうえで必要ではないか。 ・ 原子力をとりまく現在の厳しい状況を避けることなく、困難を乗り越えていくことが必要ではないか。キーワードは「透明性」しかない。「透明性」は人によって受け止め方が異なる点が非常に難しいが、「透明である」ことを認めるのは会社ではなく地域住民であり国民である。「透明である」ことについてしっかりと地域住民に伝わっているか常に確認することが必要である。大変なことではあるが「透明性を確保するということはこのようなことだ」ということを実証できる企業になってほしい。 ・ 今回の震災前は、原子力発電所は安全だと考えていたが今は違う。5年後、10年後に電力会社の取り組みが甘くなれば今回と同じような原子力発電所事故が再び発生する可能性がある。透明性をどのように確保するかについては一概には言いにくいところがあるが、住民から問い合わせを受けた際に「確認中、後ほど回答する」というような対応をせずに、わからないことは「わからない」としっかりと答えていくことが必要ではないか。 ・ 東北電力はこれまで前向きにさまざまな改革を進めてきたと感じているし、地域とのコミュニケーションも良いと感じている。現在は極めて厳しい状況であるが、しっかりと頑張ってほしい。 ・ 社内ルールを作る目的は、組織の行動や姿勢を自分達の「ありたい姿」に集約化することである。せっかく制定した社内ルールが絵に描いた餅にならないように、各種企業倫理活動においての啓発や考査等によるモニターは勿論のこと、制定後に開催されるシンポジウムにおいてはしばらく、ルールを遵守した行動が採られているか具体的にチェックする仕組みを考え実行されることを推奨する。
以 上
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