9月定例社長記者会見概要
2025.09.24
社長記者会見
〇石山社長からの説明事項
お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、「農業由来カーボン・クレジットの活用開始」について、ご説明いたします。
〇農業由来カーボン・クレジットの活用開始について
当社グループは創立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」という基本的な考え方のもと、「地域社会との共栄」を経営理念に掲げ、地域とともに歩んでまいりました。
中でも農業は、東北6県・新潟県において、地域経済の根幹を担う重要な産業のひとつであり、当社はかねてより、水力発電に利用した水のかんがい用水としての活用、農業向け電気の供給、農業電化の推進、酒米の開発など、当社事業と地域農業の共存を図ってまいりました。
近年は、収益性の低下、就農者の高齢化・後継者不足、異常気象による高温障害・生育不良など、農業に関するさまざまな課題が深刻化している状況にあります。
このような状況を踏まえ、当社も至近では、エネルギーマネジメント技術を活用した「菌床しいたけ生産事業」への参画や、営農型太陽光発電事業の展開に向けた業務提携など、サステナブルな農業の実現に貢献するための取り組みを推進してきております。
こうした中、本日より、新たな取り組みとして、農業由来カーボン・クレジットの活用を開始することといたしました。
当社は、東北・新潟の生産者さまがJ-クレジット制度の「水稲栽培における中干し期間の延長」という方法論に基づき、温室効果ガスであるメタンの排出削減量として国の認証を受けたクレジットを購入いたします。
これにより、生産者さまは新たな収益源が確保され、就農者の確保や、新たな設備導入などにつながります。
また、温室効果ガスであるメタンの排出量が削減されることから、地域のカーボンニュートラル推進にも寄与することとなり、「経済的安定性」と「環境保全性」の両面から、サステナブルな農業の実現に貢献できるものと考えております。
購入したクレジットは、当社が主催するイベントや、当社事業所の一部から排出される温室効果ガスをオフセットするほか、お客さまのニーズに応じた販売などを通じて、東北・新潟内で有効活用・循環を図ってまいります。
ここで、「水稲栽培における中干し期間の延長」について補足させていただきます。
水稲栽培では、水田が長期間にわたって水で満たされるため、土壌中の酸素が少ない環境となり、微生物が有機物を分解する過程で、メタンが発生します。
「中干し」は、稲の成長を制御するために、出穂前に一度、水田の水を抜いて乾かすもので、水稲栽培において一般的に行われる工程でありますが、これによりメタンの発生を抑える効果もあります。
この期間を、過去2年の平均よりも7日間以上延長することで、メタンの排出量が3割削減され、その削減分が「クレジット」として国の認証を受けることができます。
取り組みにあたっては、J-クレジット制度において高い実績を有する「株式会社フェイガー」と連携することとしており、当社にクレジット創出のご要望をいただいた地域や生産者さまにつきましては、当社がフェイガー社に取り次ぎ、同社のプロジェクトに参加いただくこととなります。
なお、取り組み最初のご賛同者である、秋田県大潟村農業協同組合さまが、来年度からクレジット創出に取り組む予定となっております。
地域に根差した当社が、この取り組みを推進するとともに、その社会的意義を発信していくことで、クレジット創出に取り組む生産者さまや、クレジットを購入する企業などが増加し、地域全体でのサステナブルな農業の実現が促進されることを期待しております。
当社といたしましては、今後も「カーボンニュートラル」「DX」「人財」の観点を切り口に、地域課題の解決に貢献する取り組みを進め、持続可能なより良い未来の実現を目指してまいります。
以 上