プレスリリース

4月定例社長記者会見概要

2024年 4月30日

○樋口社長からの説明事項
  本日もお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
私からは、「2023年度決算」および「2024年度業績予想」と、「東北電力グループ中長期ビジョンにおける今後の経営展開『よりそうnext+PLUS』の策定」について、ご説明いたします。



○2023年度決算および2024年度業績予想について
<2023年度決算>
  まず、2023年度の決算についてですが、売上高は、燃料価格の低下による燃料費調整額の減少や、卸電力取引市場価格の低下により、市場や他の電力会社への販売収入である他社販売電力料が減少したことなどから、2兆8,178億円となり、前年度に比べ、「減収」となりました。


 次に、経常利益につきましては、燃料費調整制度のタイムラグ、いわゆる「期ずれ」の影響が、利益を大きく押し上げたことなどにより、前年度に比べ、4,912億円増加し、2,919億円となりました。


 この結果、年度末決算としては、2015年度以来、8年ぶりの「減収増益」、2020年度以来、3年ぶりの黒字決算となりました。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度に比べ、3,536億円増加し、2,261億円となりました。
  このように、収支は大きく改善したものの、自己資本比率は15.4%と、依然として低い水準にあり、有利子負債残高は、3兆2,909億円と高い水準にあります。

 

 先ほど、ご説明いたしましたとおり、2023年度決算につきましては、2,919億円の経常利益となりましたが、前年度実績からの変動額4,912億円のうち、燃料費調整制度によるタイムラグ影響が、半分近くの2,170億円を占めております。
  これは、2022年の急激な燃料価格の高騰や、2023年に入っての下落傾向といった、燃料価格の大幅な変動に伴う一時的な要因であり、この燃料費調整制度によるタイムラグ影響を除いた経常利益は、1,979億円となっております。


<2023年度期末配当>
  なお、今ほどご説明した決算の状況と、先ほど申し上げた自己資本比率や有利子負債などの財務状況等を踏まえ、2023年度の期末配当については、第3四半期決算でもお知らせしたとおり、「1株あたり10円」とさせていただきたいと考えております。
  これにつきましては、6月26日に開催予定の第100回定時株主総会の決議をもちまして、正式に決定となります。


<2024年度業績予想>
  続きまして、2024年度の業績予想について、ご説明いたします。

 

 まず、2024年度の売上高につきましては、前年度に比べ若干の「増収」となる見通しですが、経常利益につきましては、女川2号機の再稼働による増益影響があるものの、燃料費調整制度のタイムラグ影響が、差益から差損に転じることなどにより、前年度に比べ減少し、1,900億円程度の利益となる見通しです。

 

 これにより、通期としては、「増収減益」を想定しております。
  なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,300億円程度となる見通しです。


<2024年度配当予想>
  続きまして、2024年度の配当について、ご説明いたします。

 

 2024年度の配当については、安定的な配当を行うことを基本に、当年度の業績や中長期的な収支見通しなどに加え、財務基盤の回復とのバランスも勘案し、中間配当・期末配当ともに、「1株あたり15円」とさせていただく予定です。


 以上が、2023年度決算および2024年度業績予想の概要であります。



○東北電力グループ中長期ビジョンにおける今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」の策定について
  続いて、「東北電力グループ中長期ビジョンにおける今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」の策定」についてご説明いたします。

 

 当社グループは、2020年2月に、2030年までの経営の大きな方向性を示した「東北電力グループ中長期ビジョン『よりそうnext』」を策定し、2030年代の「ありたい姿」として、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ」を目指して、グループ一丸となって取り組んでまいりました。


 一方で、この間、福島県沖地震やウクライナ危機などの影響により、2021年度および22年度は2年連続で大幅な赤字を計上し、財務基盤が著しく毀損したほか、カーボンニュートラルやDXの潮流が加速したことなどにより、グループの事業環境は、大きく変化しております。
  このような状況を踏まえ、「よりそうnext」の後半期を迎えるにあたり、今般、2030年度に向けた今後の経営展開として「よりそうnext+PLUS」を策定いたしました。


 「よりそうnext+PLUS」では、中長期ビジョンで策定した「地域の皆さまが快適・安全・安心なくらしを実感できるスマート社会の実現に貢献する」という「ありたい姿」は引き続き掲げながら、その実現に向け、「事業展開」「財務基盤」「経営基盤」の3つの方針のもと、取り組みを進めてまいります。


 まずは、「事業展開」における取り組み方針として、「新たな事業ドメイン」についてご説明いたします。
  これまで、電力供給事業とスマート社会実現事業の2つを柱に、それぞれ事業を展開してきましたが、足元では、コーポレートPPAなど、電気・エネルギー関連で新たな事業化が進み、両事業の垣根が無くなりつつあります。こうしたことなどを踏まえ、新たに、電気・エネルギーを中心に据えた5つの領域と11の事業区分を設定いたしました。今後、各事業が変革を続け、需要の獲得に取り組むなど、自律的に収益と成長を追求することを通じて、スマート社会の実現に貢献してまいります。


 また、カーボンニュートラルやDXの潮流加速を、成長への機会として捉えるとともに、イノベーションを通じた既存事業の強化・拡張や、新たな事業領域の拡大に挑戦してまいります。


 5つの領域について、「送配電」領域では、設備運営の効率化や高度化を図りながら、電力の安定供給に努めてまいります。
  「発電・卸」の領域では、火力発電事業と原子力発電事業を通して、電気の脱炭素化と経済性を両立させた電気を社会に提供してまいります。
  「グリーンビジネス」領域では、再エネ発電事業と次世代エネルギーサービス事業、グリーンエネルギーサービス事業により、多様化する再エネニーズに幅広くお応えし、バリューチェーン全体で新たな電気の価値をお客さまにお届けしてまいります。
  「エネルギー・ソリューションサービス」領域では、電力小売事業とソリューションサービス事業により、電気に加え快適・安全・安心なサービスを提供し、お客さまの豊かさの最大化に貢献してまいります。
  「関連領域」では、エネルギー事業で培ったアセット・ノウハウを活用し、総合設備エンジニアリング事業や不動産事業、情報通信事業に取り組んでまいります。


 「財務基盤」の方針として、「新たな財務目標および戦略投資等」についてご説明いたします。


 先ほど、2023年度決算でご説明させていただいたとおり、現在の連結自己資本比率は15.4%に留まっており、近年、相次いで発生している大規模災害や燃料価格の変動リスクなども考慮すると、電力の安定供給を維持していくためには、財務基盤の早期回復を図る必要があります。
  こうした状況を踏まえ、「2024年度までに連結キャッシュ利益3,200億円以上」という現在の財務目標を着実に達成したうえで、新たに、2026年度の目標として、連結自己資本比率20%程度を目指していくこととし、そのための連結経常利益の水準を1,900億円に設定いたしました。
  先ほどお示しした業績予想にもあるとおり、まずは2024年度においても1,900億円の経常利益を確保し、着実に自己資本を積み上げてまいります。

 加えて、「利益・投資・成長の好循環」を形成し、地域・お客さまに電力の安定供給と付加価値を提供し続けることができるよう、2030年度には連結経常利益2,000億円以上、連結自己資本比率25%以上を目指してまいります。


 また、創出した利益の一部は、新たな付加価値の創出に活用することとし、火力の脱炭素化や再生可能エネルギーの開発、お客さまのくらしを支えるサービスの開発、DXの推進などに対して、2030年度までに、3,000億円程度の戦略的な投資を実施いたします。
  併せて、財務基盤回復や各ステークホルダーとのバランスも考慮しつつ、安定配当を目指してまいります。


 最後に、「経営基盤」の方針として、「持続可能な経営を支える基盤」についてご説明いたします。
  当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、持続的な成長を実現していくうえでの重要課題である「マテリアリティ」の解決に向けて中長期的な視点で取り組んでおります。こうした中で、特に、電気事業の果たす役割が大きい「カーボンニュートラルの達成に向けた対応」や、「DXを活用したイノベーション・業務変革」、そして成長の源泉である人財の育成など「人的資本の強化」に重点的に取り組んでまいります。


 当社グループとしては、本日ご説明させていただいた「よりそうnext+PLUS」のもと、グループ全体で、地域の皆さまが快適・安全・安心なくらしを実感できるスマート社会の実現を目指し、取り組みを一層加速させてまいります。


 本日、私からは以上です。

以 上


(注)樋口の「樋」は、一点しんにょう


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