プレスリリース

3月定例社長記者会見概要

2022年 3月30日

〇樋口社長からの説明事項

 本日もお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。私からは、「女川原子力発電所2号機における安全対策工事完了時期の見直し」と、「2022年度東北電力グループ中期計画」についてご説明をさせていただきます。


〇3月16日福島県沖地震、3月22日電力需給ひっ迫について
 本題に入ります前に、3月16日深夜に、福島県、宮城県を中心に最大震度6強の大きな揺れに襲われた、福島県沖を震源とする地震について、触れさせていただきます。


 まず、この地震により、お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げます。また、被災された多くの皆さまに、心からお見舞い申し上げます。


 今回の地震により、青森、岩手、宮城、福島、新潟の各県において、延べ約16万戸が停電いたしました。当社および東北電力ネットワークでは、互いに連携の上、他県からの応援隊を含め、延べ約2,800人体制で懸命に復旧作業に当たった結果、翌17日の21時41分までに、停電をすべて復旧することができました。

 停電により、お客さまへ大変なご不便、ご迷惑をおかけいたしました。


 また、地震の影響により、当社の新仙台火力発電所3−1号と、原町火力発電所1号を含む、東日本の一部の発電所が継続的に停止している中、3月22日には、気温の低下、ならびに悪天候に伴う太陽光発電の減少も重なったことから、東北・新潟エリアにおいても、電力需給が非常に厳しい状況となり、政府から「需給ひっ迫警報」が出される事態となりました。


 東北電力ネットワークでは、需給状況の改善を図るため、他のエリアからの電力融通を受けるとともに、お客さまに節電のご協力をいただいたことにより、安定供給を維持することができました。


 皆さまの節電へのご協力に対しまして、この場をお借りし、改めて御礼を申し上げます。


 なお、停止していた新仙台火力3−1号機については、3月25日に運転を再開いたしましたが、原町火力1号は、燃料設備などの復旧が必要なことなどから、5月上旬の運転再開を予定しています。

 当社といたしましては、原町火力1号の早期の復旧に全力を尽くすとともに、引き続き、供給力の確保に努めてまいります。


〇女川原子力発電所2号機安全対策工事工程の見直しについて
 それでは、「女川原子力発電所2号機における安全対策工事完了時期の見直し」についてご説明いたします。


 当社は、女川2号機の安全対策工事につきまして、これまで「2022年度」の完了を目指してまいりましたが、昨年12月に工事計画の認可を受けたことを踏まえ、改めて工事工程を評価し、「2023年11月」の完了を目指していくこととしました。


 これに伴い、本日、「女川2号機の原子炉設置許可」に係る変更の届出を、原子力規制委員会へ提出するとともに、宮城県、女川町、石巻市をはじめとする関係自治体にもご説明しています。


 安全対策工事の完了時期については、新規制基準適合性審査の過程で得られた知見、評価の設計への反映に加え、工事の進捗状況など、様々な要因を総合的に勘案し、判断する必要があります。


 こうした中、昨年12月の工事計画の認可をもって、安全対策工事の内容が確定し、工事全体の工程について、より詳細に見通せる状態となったことを踏まえ、改めて、工事の完了時期を評価しました。


 その結果、工事計画認可の審査において説明を行ってきた「圧力抑制室の耐震補強工事」などが工程に与える影響を考慮し、工事完了時期の見直しを行うこととしたものです。


 この耐震補強工事の具体的な内容と、本日原子力規制委員会へ提出した「使用前確認申請書」の内容について、原子力部の金澤部長より、説明いたします。


【金澤部長からの説明】
 圧力抑制室は、鋼鉄製のドーナツ型の構造物で、運転中は常時、大量の水を保有しています。万が一、配管が破断し、原子炉格納容器内に大量の蒸気が発生した場合に圧力を下げるほか、原子炉内に非常用の冷却水を供給するなどの役割を担っています。


 耐震補強工事は、圧力抑制室の本体や内部の構造物に対して、新たに補強部材などを追加し、基準地震動に対する耐震性を確保するものです。

 当社として経験のない工事となることから、これまで実機の模型を作成し、具体的な工事の工法や工程について、検討を重ねてまいりました。


 工事にあたっては、圧力抑制室内部へアクセスするための開口部が、1.5mと狭く、また、内部では様々な構造物が入り組む中、足場を設置し、狭隘な環境下で複数の工事を並行しながら実施していくこととなります。


 これらを考慮した当該工事の完了時期を2023年11月と評価し、あわせて今回、工事全体の完了時期を見直すこととしたものです。


○女川2号機における「使用前確認申請書」の提出について
 続いて、「使用前確認申請書の提出」について、ご説明いたします。


 今後、女川2号機では、安全対策工事の進捗にあわせて、工事の内容が工事計画認可のとおりに実施されていることや、様々な設備が法律に基づく技術基準等に適合していることを確認するため、当社で「使用前事業者検査」を実施することとしています。


 今回の申請は、この当社の検査が適切に行われ、終了していることを、原子力規制委員会に確認いただくためのものです。


 使用前事業者検査は、主に「燃料体を挿入できる段階」、「臨界反応操作を開始できる段階」、「工事完了」の3つのステップがあります。


 このうち、「臨界反応操作を開始できる段階の検査」が終了した後に、原子炉起動操作を行い、その後、発電機を並入して発電を開始する、いわゆる「再稼働」となります。この時期を「2024年2月」と想定いたしました。


 なお、記載の工程につきましては、他社の実績や当社における過去の定期検査の実績を踏まえ、あくまで一定の目安として想定したものであり、今後、実施していく使用前事業者検査や、原子力規制委員会による使用前確認の進捗等を踏まえ、改めて見極めてまいりたいと考えております。


 私からの説明は以上です。


【樋口社長からの説明】
 今回、工事完了時期を見直しました。工程がより具体化しましたので、引き続き、安全性向上に着実に取り組むとともに、地域の皆さまからのご理解をいただきながら、再稼働を目指してまいります。


〇2022年度東北電力グループ中期計画について
 続いて、2022年度東北電力グループ中期計画についてご説明します。


 現在、当社グループを取り巻く環境は、電力販売の競争激化や脱炭素化等の潮流加速、カーボンニュートラル実現の機運の高まりなど、大き変化しています。

 こうした中、中長期ビジョン「よりそうnext」で掲げる「東北発の新たな時代のスマート社会の実現」に向けて、「電力供給事業の構造改革」と「スマート社会実現事業の早期収益化」に取り組んでいるところですが、これまでの方向性は堅持しつつ、水準の強化とスピードの加速をしていく必要があると考えています。


 このたび策定した2022年度中期計画では、これまでの中期計画で掲げている3つの力点である「Change、Challenge、Create」を継続しながら、さらに踏み込んだ施策を実施してまいります。


 具体的には、電力供給事業について、200万kWの開発目標に向けて、再エネ電源の自社開発を強化するとともに、開発エリアの拡大も進めます。

 また、トレーディングを活用した最適な燃料・電力の取引を行うことで発電・卸分野での利益最大化を図ります。


 スマート社会実現事業では、その切り口となる電力小売において、再エネも含めた最適なメニューのご提案を強化するとともに、電気と各種サービスを組み合わせたパッケージサービスのご提供を拡大します。

 加えて、VPP事業の取り組みを加速し、総合的なスマート社会実現事業のサービスを展開していきます。


 また、個々の事業において最適な戦略を立案・実行するため、本年4月から、現在の「発電・販売カンパニー」を「発電」、「再エネ」、「販売」の3つのカンパニーに再編します。各カンパニーが機動性を持ち、迅速な事業運営を行うことで、利益拡大を図ります。


 加えて、カーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として、当社および東北電力ネットワークで保有する社用車のうち、特殊車両などを除く約2,700台を、2030年度までに、順次、電気自動車やプラグインハイブリッドなどの電動車に切り替えていきます。


 以上が、2022年度中期計画の主な新規・強化施策ですが、概要につきましては、後ほど資料をご覧ください。

 なお、当社グループでは、よりそうnextの実現に向け、送配電網の系統増強等を含む再生可能エネルギー事業と、スマート社会実現事業を中長期的な成長分野と位置付けていますが、今後、2030年頃までに4,000億円程度を投資し、それぞれの事業を拡大してまいります。


 最後になりますが、現在、ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、国際情勢の不安定な状況が続くことが想定されています。

 燃料価格、ならびに燃料費調整単価の高止まりが継続することで、当社の収支や経営に対してだけではなく、お客さまの生活にも影響が出ることを大いに懸念しているところです。


 当社といたしましては、今般のウクライナ侵攻が経営にとって重大なリスクになり得るとの認識のもと、私が議長を務めるウクライナ危機に係る緊急対策会議を設置し、検討を行っているところですが、この度の地震による影響も含め、さまざまな角度から検討を行い、必要な対策を進めてまいります。


 当社を取り巻く事業環境は厳しい状況にありますが、変化に対応しながら、中長期ビジョンで掲げた「スマート社会」の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。


 本日、私からの説明は以上です。

以上


(注)樋口の「樋」は、一点しんにょう



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