プレスリリース

7月定例社長記者会見概要

2021年 7月30日

〇樋口社長からの説明事項
 本日もお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。 
 私からは、「2021年度第1四半期決算および2021年度業績予想」に加えまして、「2030年度におけるCO2削減目標」および  「カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な取り組み」について、ご説明させていただきます。



〇女川原子力発電所で発生した、「硫化水素による体調不良者の発生」ならびに「非常用設備の計画外の作動」
 テーマのご説明に入ります前に、先日、女川原子力発電所2号機において発生いたしました、2件の事象について触れさせていただきます。


 7月12日に硫化水素により体調不良者が発生し、7月16日には、非常用設備を計画外に作動させる事象が発生いたしました。
 地域の皆さま、関係の皆さまにご心配をおかけいたしましたことを、あらためてお詫び申し上げます。

 

 今後、再発防止に努めるとともに、安全確保にしっかりと取り組んでまいります。

 

〇2021年度業績予想について
 それでは、本日のテーマについてご説明いたします。
 はじめに、2021年度の業績予想からご説明いたします。

 

 2021年度の業績予想につきましては、2月に発生した福島県沖地震で被害を受けた火力発電所の復旧時期を見極める必要があったため、4月に、売上高の予想のみを公表しておりましたが、今回、被災火力発電所の復旧見通しが立ったことから、利益予想を算定いたしました。


 具体的に見てまいりますと、売上高については、2022年3月期より新たな会計基準である「収益認識に関する会計基準」を適用したことなどから、1兆8,100億円程度と想定しております。
 なお、前回4月に発表した予想と比較し、燃料費調整額の増加などにより、上方修正しております。
 
 次に、経常利益については、減価償却方法を定率法から定額法に変更したことにより減価償却費は減少するものの、燃料費調整制度のタイムラグ影響や、福島県沖地震による火力発電所の停止影響などにより、収支が大幅に悪化することから、前年度に比べ、48.2パーセントの減となる、350億円程度となる見通しです。


 また、親会社株主に帰属する当期純利益については、前年度に比べ、21.7パーセントの減となる、230億円程度となる見通しです。


 こうした厳しい収支状況を踏まえ、当社としては、企業グループ一体となって生産性・効率性の向上に努めているものの、2021年度通期の業績は前年度を大きく下回り、減収減益となる見通しです。



〇2021年度第1四半期決算について
 続いて、2021年度の第1四半期決算について、ご説明いたします。

 

 当社の販売電力量は、新型コロナウイルスの影響で大幅に減少した 前年同期からの反動などにより、小売の販売電力量が増加したものの、市場取引における卸売が減少したことなどから、前年同期に比べ4.3パーセントの減の、186億キロワットアワーとなりました。

 

 売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、4,005億円となり、前年同期に比べ1,186億円の減、率にして22.9パーセント減の、減収となりました。


 なお、この会計基準の適用による利益への影響はありません。

 

 次に、経常利益については、先ほど業績予想でも説明したとおり、当社において、減価償却費が減少したものの、燃料費調整制度のタイムラグ影響や、福島県沖地震による火力発電所の停止影響など、一時的な要因があったことなどから、185億円となり、前年同期に比べ206億円の減、率にして52.7パーセントの減の、減益となりました。


 これにより、第1四半期としては、2016年度以降、5年ぶりの減収減益となりました。
 
 また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、98億円となり、前年同期に比べ、180億円の減、率にして64.7パーセントの減となりました。
 
 なお、東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」において、財務目標として設定している連結キャッシュ利益は、当四半期においては、825億円となりました。


 引き続き、2024年度において、3,200億円以上とする目標の達成を目指してまいります。



〇2021年度配当予想について
 これまで「未定」としておりました2021年度の配当予想につきましては、中間・期末配当ともに、「1株当たり20円」とさせていただくことといたしました。


 以上が、2021年度第1四半期決算の概要でありますが、今後も販売面では、新型コロナウイルス影響が不透明であることや、厳しい競争環境が継続していることなどから、当社の経営環境は引き続き厳しい状況にあるものと受け止めております。


 引き続き、販売拡大や構造的なコスト削減による競争力強化に取り組んでまいります。



〇「2030年度におけるCO2削減目標」および「カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な取り組み」について
 続いて、「2030年度におけるCO2削減目標」および「カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な取り組み」についてご説明いたします。

 

 当社グループは、今年の3月に「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」を策定し、様々な技術開発を前提として、「再エネと原子力の最大限活用」、「火力の脱炭素化」、「電化とスマート社会実現」の3本の柱により、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めております。
 
 先般、日本政府において、2030年度に向けて、新たに「温室効果ガスの排出量を、2013年度と比較して46%削減する」という野心的な非常に高い目標が示されました。
 当社グループとしても、今後さらに取り組みを加速させる必要があると考えております。

 

 このため、今回新たに当社グループのカーボンニュートラルに向けた「検討・推進体制の強化」を図るとともに、「2030年度におけるCO2削減目標」を設定し、具体的な取り組みとして「火力の脱炭素化に向けた実証・研究」を進めることといたしました。


 まず、当社における「検討・推進体制の強化」について、ご説明いたします。


 これまで当社では、カーボンニュートラルについては、環境問題全般に係るテーマを議論する「地球環境問題対策推進会議」において、他の議題とともに議論を進めてきました。
 そのような中、今回、体制の明確化、検討・意思決定の迅速化を図る観点から、私自身が議長としてリーダーシップを発揮し、カーボンニュートラルに係る事項を専門的に議論する「カーボンニュートラル・環境経営推進会議」を、本日、設置いたしました。

 

 また、これまでカーボンニュートラルに係る戦略の検討・立案を担当してきた「本店グループ戦略部門環境ユニット」を、本日より「カーボンニュートラル・環境戦略ユニット」に再編し、体制の明確化、検討・立案の迅速化を図ることといたしました。


 次に、「2030年度におけるCO2削減目標」について、ご説明いたします。

 

 当社グループは、2030年度のCO2排出量について、2013年度実績と比較して「半減」を目指していくことといたしました。

 

 この達成に向けて、当社グループが一体となり、「再エネと原子力の 最大限活用」、「火力の脱炭素化」および「電化とスマート社会実現」に取り組み、2050年でのカーボンニュートラル実現を目指してまいります。
 
 ここからは、カーボンニュートラルに向けて「火力の脱炭素化」を実現するための新たな取り組みを、3点ご紹介いたします。

 

 1点目は、LNG火力の脱炭素化に向けた「新潟火力発電所における水素やアンモニアの混焼実証」です。
 水素およびアンモニアは、燃焼時にCO2を排出しないことから、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー源として期待されておりますが、発電への利用にあたり、燃焼安定性の確認等が必要となることから、当社新潟火力発電所5号系列の実機を用いて実証を進めることといたしました。


 このほか、水素およびアンモニアは、燃料の調達・確保といったサプライチェーンが確立されていないという課題もあることから、この実証を 通じ、サプライチェーンの発展にも貢献したいと考えております。


 2点目は、石炭火力の脱炭素化に向けた「能代火力発電所におけるブラックペレットの混焼実証」です。
 ブラックペレットとは、木材を加熱して一部を炭の状態にしたバイオマス燃料のことで、従来のバイオマス燃料よりも高い熱エネルギーを 有しております。
 当社は現在、原町火力発電所および能代火力発電所において、すでに木質チップの混焼を実施しておりますが、今回、能代火力発電所において、更なるバイオマス燃料の混焼率向上を目的として、ブラックペレットの混焼実証を進めてまいります。
また、バイオマス燃料の安定的な調達・確保を目的として、当社火力発電所の遊休地を活用し、バイオマス燃料の原料製造の実証にも取り組んでまいります。


 3点目は、「再エネ由来の水素を活用した火力CO2のメタン変換に関する研究」です。

 この研究は静岡大学と共同で進めており、火力発電所で発生したCO2と、再エネを活用して製造した水素を結合してメタンを合成し、LNG火力の混焼用の燃料として再利用を目指すものです。この技術により、火力由来のCO2の削減および有効利用につなげたいと考えております。


 当社は本日ご説明した「火力の脱炭素化」に向けた具体的な取り組みをはじめ、引き続き「再エネと原子力の最大限活用」や「電化とスマート社会実現」を着実に進め、CO2排出削減を加速していきます。


 当社グループは一体となって、地域やお客さまによりそう企業として、持続可能な社会の実現に向けて、カーボンニュートラルに積極的に挑戦してまいります。


 カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの説明は以上です。


 本日、私からの説明は以上です。


以 上

 

 (注)樋口の「樋」は、一点しんにょう


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