プレスリリース

女川原子力発電所敷地内における火災発生に係る原因と対策について

2023年 6月23日

 当社は、2023年6月14日に女川原子力発電所敷地内で発生した火災事象について、本日、原因および再発防止対策を取りまとめました。


 本事象につきまして、地域の皆さまをはじめ、関係の皆さまにご心配、ご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。


 当社といたしましては、今回策定した再発防止対策を確実に実施することで、同様の事象を発生させないことはもとより、より一層の安全確保に万全を期してまいります。


 本事象に係る調査結果および原因・再発防止対策は、以下のとおりです。



【本事象の概要】

  • 2023年6月14日9時35分頃、女川原子力発電所の敷地南側(防潮堤海側付近・屋外)で実施していた排水路設置工事※1において、同工事を請け負った協力企業 (以下、「当該協力企業」という)の現場作業員がプラスチック製の排水管(以下、「排水管」という)を固定する架台の溶接作業を実施していたところ、排水管から発煙を確認。直ちに現場作業員が初期消火を行った。
    ※1 防潮堤の設置に伴い、発電所構内に降った雨水等を発電所敷地外へ排水するための設備を付け替えする工事(安全対策工事の一環)。
  • その後、10時28分に石巻広域消防本部へ通報。11時21分に女川消防署が現場に到着し、11時30分に発煙および鎮火がいずれも9時35分であることが確認された。
  • この火災による負傷者は発生しておらず、発電所の設備ならびに環境への放射能の影響はない。

  (2023年6月14日お知らせ済み)


【現場調査の結果・本事象発生のメカニズム】(別紙参照)
 本事象に係る調査(関係者への聞き取りおよび現場確認)を実施し、本事象発生時の状況を確認するとともに、発生のメカニズムを以下のとおり推定した。

(1)排水管を固定するための架台(6カ所)を溶接する計画としており、以下の手順で作業を行っていた。
a.6月6日〜 7日 排水管の架台(2カ所)の溶接作業を行った。
b.6月8日〜14日 架台上部の部材をより強度の高い形状に変更するため、排水管の架台(4カ所:「a」とは別)の溶接作業を行った。
c.本事象発生時(6月14日)、当該協力企業の作業員4名が、架台(6月6日〜7日に溶接済みの2カ所が対象)の上部に補強部材を追加で設置するための溶接を行うこととしていた。
d.当該溶接作業を実施した際、「a」の溶接作業時とは異なり、架台に斜材が据え付けられた状態となっていた。


(2)溶接作業において、発煙が確認されたのは、架台下部の斜材と排水管が接する箇所であった。


(3)発煙が確認された排水管周辺において、溶接作業時に発生したスパッタ※2 が確認された。
※2 溶接時の火花に含まれる溶融した金属粒子。


(4)上記現場調査の結果より、溶接作業時に発生したスパッタが、排水管が接する架台下部の斜材に堆積し、その熱により排水管の一部が溶けて発煙したものと推定した。


 

【本事象の発生原因・再発防止対策】
 本事象の発生に至った原因および再発防止対策は以下のとおりである。

1.本事象の発生原因
(1)当該協力企業は、「排水管はスパッタでは燃えない」という誤った認識を持っていたことから、当該溶接作業に係る火気養生計画書※3 を作成する際、排水管への火気対策は不要と考えた。
※3 火気作業ごとに、可燃物を除去することや、可燃物等が除去できない場合の対策(不燃シートの設置等)を定めたもの。


(2)当該協力企業は、当社が定めた社内文書において、作業計画書※4 に火気作業のリスクや対策を明記することが規定されていなかったことから、作業計画書にこれらの内容を記載しなかった。
※4 作業ごとに、工事範囲、工事内容、作業手順などを明記した計画書。協力企業が作成し、当社作業担当箇所が内容を確認するルールとなっている。


(3)そのため、当社作業担当箇所は、当該溶接工事に係る火気対策を確認、管理することができなかった。


2.再発防止対策
(1)当該協力企業は、以下の対策を講じる。

a.作業計画書を作成する際に、以下の事項を明記する。
(a)火気作業の有無
(b)火気作業の内容およびリスク
(c)火気対策と当社による立会計画
b.火気養生計画書の作成に際し、当社作業担当箇所が火気対策の妥当性を確認できるよう、火気作業エリア内にある全てのものをリストアップする。また、火気作業の方法やリストの内容を変更した際には、火気養生計画書を更新の上、当社作業担当箇所に再提出する。
c.火気作業時における責任者の立会およびパトロールを強化する。
d.火気作業に対する危険感受性を高める教育を実施する。


(2)当社は、当該協力企業に限らず、上記「(1)a.」の事項について、確実に作業計画書に反映されるよう、その旨を社内文書に規定する。また、作業計画書が提出された際には、その内容に応じて適切な現場の確認、管理を行う。


(3)当社は、本事象の水平展開として、以下の対策を講じる。
a.当社社員および構内協力企業作業員に対し、今回の事例を周知するとともに、各火気作業エリアの火気対策を再確認する(実施済)。
b.構内協力企業が定める火気作業マニュアル・火気教育テキストや、火気教育実績を審査するとともに、火気教育の実施状況について監査を行う。
c.これまで、火災発生時の影響が大きい建屋内などを対象としていた防火管理の専門家によるパトロールの対象範囲に、屋外を追加する。


 

【本事象発生の通報が遅くなった原因と再発防止対策】
 本事象に関して、火災発生から消防への通報までの時間に約1時間を要した原因および再発防止対策は、以下のとおりである。

1.通報が遅くなった原因
(1)当該協力企業の現場作業員は、初期消火が成功したこと、また、煙の発生のみであったことから、消防への連絡は不要と判断。その後、現場作業員は直ちに当該協力企業の関係者に連絡。当該協力企業の関係者は、初期消火が完了していたことから、現場の状況を確認した上で当社作業担当箇所に連絡することとしていた。


(2)一方、当社は「屋外で発煙を確認した場合、発見者自ら消防へ通報連絡するとともに、当社へ連絡する」とのルールを定めていたが、当該協力企業の認識不足により、消防および当社への速やかな連絡が行われず、通報が遅くなった。


2.再発防止対策
(1)当社は、当社社員および構内協力企業作業員に対し、火災発生時の通報連絡に係るルールを再周知する(実施済)。


(2)当社社員および構内協力企業作業員は、火気作業に関する作業前ミーティングの都度、火災発生時の通報連絡に係るルールを再確認する。


(3)当社は、火気作業の現場監視人(構内協力企業)に、自らの役割や、火災発生時の通報連絡に係るルール等を記載したカードを携行させるなどし、現場での確認・判断を徹底させる。また、現場監視人への教育内容や実績について、構内協力企業への審査・監査を通じて確認していく。


(4)当社は、当社社員および構内協力企業作業員に対し、通報連絡の方法や重要性を継続的に周知することで、意識向上を図る。


 


以 上




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