プレスリリース

女川原子力発電所2号機制御建屋内への硫化水素の流出に係る原因と対策について

2021年11月 5日

 当社は、2021年7月12日、女川原子力発電所2号機制御建屋内への硫化水素の流出により、体調不良者が発生した事象について、本日、本事象が発生した原因および再発防止対策を取りまとめました。


 本事象につきまして、地域の皆さま、関係の皆さまにご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。


 当社といたしましては、今回策定した再発防止対策を確実に実施することで、同様の事象を発生させないことはもとより、作業に伴う様々なリスクへの感度を高める意識付けを行うことで、より一層の安全確保に万全を期してまいります。


 事象の概要および原因と再発防止対策は以下のとおりです。


 なお、当社は10月7日に、労働基準監督署から本事象に係る指導票を受領しておりますが、これを踏まえた改善報告書も取りまとめ、本日、同署に提出しております。


【事象の概要】(別紙1、2参照)

 2021年7月12日14時40分頃、女川原子力発電所1号機の廃棄物処理建屋において、洗濯廃液等※1を貯留するタンク (以下、「タンク」という)内の硫化水素の発生を抑制するため、空気注入による攪拌作業※2を行っていたところ、タンクに蓄積していた硫化水素が、タンクに接続されている配管から他のタンクや配管を通じて2号機の制御建屋内に流れ込み、1階の管理区域入退域エリアや2階の女性用更衣室において、協力企業従業員7名の体調不良者が発生した。

(2021年7月13日お知らせ済み)


※1 管理区域内で使用した被服等の洗濯で生じる廃液等。

※2 タンク内の酸素が少ない環境下で、洗濯廃液等を処理する過程で使用している硫酸アルミニウムと、被服等に含まれる汗等の有機物および嫌気性生物(硫酸塩還元細菌:自然環境下に存在)により、硫化水素が発生することから、定期的にタンク内に空気を注入し攪拌することで、硫化水素の発生を抑制しているもの。


【硫化水素が2号機制御建屋に流出したメカニズム】(別紙3参照)

 これまで実施した調査の結果、硫化水素が2号機制御建屋へ流出したメカニズム等について、以下のとおり推定した。

(1)タンクに堆積している多量のスラッジ※3が時間の経過とともに固まったことにより、注入した空気の経路が限定され、硫化水素がスラッジ内に蓄積されている状態となっていた。

(2)このため、定期的(1週間に1回程度)に実施している空気攪拌作業の効果が弱まってきたことから、前回(事象発生の前週)実施した作業では、硫化水素発生の抑制効果改善等を目的に、予め定められた手順に基づき、従来よりも高い供給圧力でタンク内に空気を注入したところ、スラッジがほぐれ、新たな空気の経路が形成された。

(3)こうした状態において、事象発生日当日も、硫化水素発生の抑制等を目的に、従来よりも高い供給圧力で空気攪拌作業を実施したところ、スラッジ内に蓄積していた多量の硫化水素が、新たな空気の経路を通じてタンク内に放出されたが、通常の排気ラインである換気空調系で排気しきれずに、タンクに接続している配管等を通じて系統外へ流出した。


※3 管理区域内で使用した被服の洗濯廃液等に含まれる洗剤成分を除去する際に生じた活性炭等が泥状の固体となったもの。


【事象発生の原因】

本事象の発生に至った原因について、以下のとおり抽出した。

(1)タンク内のスラッジの定期的な排出処理を実施しておらず、長期間にわたりスラッジが多量に堆積した状態となっていた。

(2)当日の空気撹拌作業により硫化水素がタンク内に多量に放出し、換気空調系で排気しきれなかった。

(3)硫化水素が多量に発生した場合に備え、2号機制御建屋への流出を防止するための配管の隔離措置を取っていなかった。

(4)空気攪拌作業にあたり、酸欠作業※4に準じた立入禁止措置、非常時の連絡体制等の措置を取っていなかったことに加えて、硫化水素流出時に協力企業作業員との間での情報共有、避難誘導が円滑に行われなかった。


※4 酸素欠乏症等防止規則に基づき、酸素欠乏症または硫化水素中毒を防止するため、作業方法の確立、作業環境の整備その他必要な措置を講ずる必要がある作業。


【再発防止対策】(別紙4参照)

 抽出した原因を踏まえた再発防止対策について、以下のとおり講じることとした。

(1)タンクからスラッジを定期的(年1回以上)に排出するなどし、堆積量が一定レベルを超えないよう維持することとし、その旨を社内文書に規定する。

(2)空気攪拌作業時には、事前に換気空調系の排気量を増やす。

(3) 空気攪拌作業時には、タンクから2号機の制御建屋に繋がる配管の弁を閉じ、流出経路を隔離する。

(4)空気攪拌作業時には、酸欠作業に準じた措置を行うとともに、流出経路の隔離措置や漏えい防止、緊急・異常事態が発生した際の報告フロー等について、社内文書に規定するとともに、所員および協力企業作業員へ周知する。


 これまで実施してきた空気攪拌作業では、多量の硫化水素が発生し、系統外へ流出した事例がなく、今回のような事象が発生する可能性について予見できなかったことから、今後の作業にあたっては、今回策定した再発防止対策の実施に加えて、硫化水素による人体への影響に鑑み、当該作業の従事者のみならず、その他の作業員への影響も評価するなど、より慎重なリスク想定を行ってまいります。


以 上


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