コーポレート・ガバナンス

コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

 当社は、「東北電力グループ中長期ビジョン『よりそうnext』」で掲げた「地域社会との共栄」の経営理念と「より、そう、ちから。」のグループスローガンのもと、ステークホルダーとの対話を重ねながら、お客さまと地域によりそい、エネルギーを中心としたサービスの提供等を通じてスマート社会の実現に取り組むことで、社会の持続的な発展とともに成長することを目指しています。
 この方向性のもと、事業運営を適正に遂行していくために、コンプライアンスの徹底、誠実かつ公正で透明性のある事業運営の推進、内部統制およびリスクマネジメントの充実など、引き続きコーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。
 当社は、コーポレートガバナンスの充実が経営上の重要課題の一つであるとの認識に立ち、ステークホルダーの期待に応えていくため、経営の機動性、健全性、透明性を高めるなど、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取り組みを進めていきます。

内部統制・コーポレートガバナンス模式図

内部統制・コーポレートガバナンス模式図

①取締役会

 取締役会は、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立性を有する社外取締役7名を含む15名で構成され、原則として毎月1回開催し、経営に関する重要な計画をはじめ、当社の業務執行の重要事項を決定するとともに、取締役からの業務執行状況の報告および取締役の職務の執行について相互に監督しています。
 また、取締役会決議により重要な業務執行の決定の一部を取締役会から取締役に委任するとともに、社長執行役員、副社長執行役員、常務執行役員(あわせて役付執行役員という)が業務執行を担う体制としています。

②指名・報酬諮問委員会

 当社は、取締役会の諮問機関として、指名委員会に相当する任意の委員会および報酬委員会に相当する任意の委員会の双方の機能を担う「指名・報酬諮問委員会」を設置しております。
 同委員会は、指名・報酬に関する客観性・適時性・透明性を確保するため、構成員の過半数を独立社外取締役とし、かつ独立社外取締役が委員長を務めることを基本とし、取締役会から取締役等の指名・報酬に関する諮問を受けて審議・答申を行っております。
 現在は、社内取締役2名(代表取締役会長 増子次郎、代表取締役社長 樋口康二郎(※))および独立社外取締役4名(監査等委員でない取締役 上條努氏、同川野邊修氏、同永井幹人氏、監査等委員である取締役 宮原育子氏)で構成しており、監査等委員でない取締役 上條努氏が委員長を務めております。

※樋口の「樋」は、一点しんにょう

③経営会議

 役付執行役員により構成される経営会議を原則として毎週開催し、取締役会で定められた経営の基本方針に基づき、全般的な業務運営の方針および計画ならびに重要な業務の執行について、協議しています。
 さらに、カンパニー制を導入し、「発電カンパニー」「販売カンパニー」「再生可能エネルギーカンパニー」「原子力本部」「ビジネスサポート本部」の各カンパニー・本部により、自律的な業務の展開を図るなど、適正かつ効率的な業務プロセスの構築を推進しています。

④監査等委員会

 監査等委員会は、監査等委員4名のうち3名を社外監査等委員としており、経営監視機能の客観性および中立性を確保しております。また、経営会議等重要な諸会議への出席、業務執行部門からの職務執行状況の聴取、事業所への往査、内部監査部門との連携等を日常的に実施することにより、監査・監督機能の実効性を高めるため、常勤の監査等委員1名を選定しております。監査等委員会は、原則として毎月開催するほか、必要に応じて随時開催しており、監査・監督を担う機関として必要事項の審議・報告を行っております。
 常勤の監査等委員は、取締役会のほか、経営会議等重要な会議に出席するとともに、業務執行部門からの職務執行状況の聴取や重要な書類の閲覧、事業所における業務及び財産の状況の調査等を実施し、取締役の職務の執行及び内部統制システムの整備・運用状況などに関する監査の充実に努めております。また、代表取締役との懇談会への出席のほか、内部監査部門及び会計監査人と定期的に情報交換などを行うとともに、関係会社監査役との連携を強化するなど、監査効果を一層高めるよう努めております。特に、内部監査部門および会計監査人との連携の強化に関しては、常勤監査等委員、内部監査担当役員、会計監査人が一堂に会する三様監査合同会議を開催しています。さらに監査活動で得られた情報を適宜、社外監査等委員に情報提供するなど、社外監査等委員とも十分な連携を図っております。
 社外監査等委員は、取締役会のほか、代表取締役との懇談会に出席し、それぞれの豊富な経験などを踏まえて幅広い観点から忌憚のない質問や意見を述べるとともに、事業所等を訪問し業務状況の調査を実施しております。そのほか、宮原監査等委員は、任意の委員会である「指名・報酬諮問委員会」に委員として出席しております。
 なお、監査等委員会の職務を補助すべき職責を担う監査等特命役員を設置するとともに、監査等委員会の職務を補助するための専任組織として、監査等委員会室を設置しています。

⑤内部監査部門

 当社は、考査室が業務全般にわたり、組織制度や管理体制の有効性・妥当性、業務運営の経済性・効率性や設備保安活動の有効性・効率性等に係る内部監査などを実施し、原子力考査室が原子力発電の安全性の確保と信頼性向上に係る内部監査を実施しています。内部監査は、当社、子会社および主要な関連会社からの聞き取り、書類の調査および現場確認などの方法により実施しています。
 内部監査結果は、社長執行役員、経営会議、および取締役会に報告するとともに、改善を要する問題点等について、関係部門に改善を促しております。また、監査等委員会へは四半期毎に内部監査結果を報告しているほか、内部監査担当役員、常勤監査等委員および会計監査人が一同に会する三様監査合同会議を年2回開催するなど、監査等委員会および会計監査人と相互に連携・協力し、内部監査の実効性の向上に努めております。
 なお、内部監査部門は各執行機関より独立し、考査室および原子力考査室は社長執行役員に直属した組織形態となっております。

取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行うにあたっての方針と手続き

 当社は、取締役の指名・解任を行うに当たっての方針および手続を以下のとおりとしています。

方針

  • 取締役会は、電気事業を営む会社に求められる実効性ある経営体制を構築することおよび実質的な議論や業務執行に対するモニタリング機能を確保するために必要かつ適切な人数で構成することを基本とし、その員数は定款に定める18名以内の適切な人数とする。
  • 取締役の選定および解任にあたり、指名・報酬諮問委員会において審議し、客観性・適時性・透明性を確保する。
  • 社内取締役候補者(監査等委員である取締役候補者を除く。)は、「東北電力グループ中長期ビジョン」の実現に向けて、
    • 先見的ビジョンや創造的ビジネスモデルを構想し、組織を牽引する「構想力」
    • 知識・経験やプリンシプルに基づき、自らの責任のもと意思決定を行う「決断力」
    • 社内外の叡智と資源を結集させ積極果敢に挑戦し、粘り強く目標を達成する「完遂力」
    • 鋭い感覚でビジネスチャンスを発掘するとともに、リスクの兆候を見逃さない「感知力」
    • 高い道徳観と公益事業を担う強い使命感を併せ持つ「高潔性」
    を有する者で、専門性が高く幅広い業務領域を有するという電気事業の特性等を踏まえた技術的な専門性や豊富な業務経験、電気事業の経営全般に関する知見、ならびに新たな事業分野に関する知見など、専門分野等のバランスを考慮して、各分野に精通した者の中から選定する。
  • 社外取締役候補者(監査等委員である取締役候補者を除く。)は、企業経営などに基づく実践的な経験と社会・経済動向等に関する高い識見を基に、取締役会での適切な意思決定および経営監督の実現を図ることができるかどうかを重視して選定する。
  • 監査等委員である取締役候補者は、経験や識見を活かし監査等委員としての職務を適正に遂行し、取締役の職務執行の監査・監督ができるかどうかを重視して選定する。このほか、監査等委員である社外取締役候補者は、客観的かつ中立的な監査・監督ができるかどうかも重視して選定する。
  • 社外取締役候補者の独立性の有無は、当社が定める「社外取締役の独立性判断基準」に照らし、判断する。

手続

  • 上記の方針等を踏まえ、より客観性・適時性・透明性を確保する観点から、指名・報酬諮問委員会での審議を経て、取締役会の決議により決定する。また、監査等委員である取締役候補者については、取締役会付議の前に、監査等委員会の同意を得る。なお、監査等委員会は、取締役候補者(監査等委員である取締役候補者を除く。)の選任について、監査等委員会としての意見を決定のうえ、株主総会でその意見を述べることができる。

取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続き

 当社は、取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬を決定するにあたっての方針および手続は以下のとおりとしています。

方針

 取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬は、「東北電力グループ中長期ビジョン」の実現に向けて、報酬と業績および株式価値との連動性をより明確にすることにより、取締役の中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意欲を高めることを目的として、以下の方針により決定する。

  • 報酬体系は、固定報酬、短期業績連動報酬および中長期業績連動報酬で構成し、報酬額の水準は、当社の業績や経営環境等を勘案し、他の上場企業の報酬水準も参考に、役職ごとに決定する。
  • 固定報酬、短期業績連動報酬および中長期業績連動報酬の報酬全体に占める支給割合は、業績向上のインセンティブ付与の観点から、目標達成時において、それぞれ7割程度、1割程度および2割程度とする。
  • 固定報酬は、株主総会において承認された総額の範囲内で、年額を決定し、金銭をもって月次で支給する。
  • 短期業績連動報酬は、株主総会において承認された総額の範囲内で、業績目標の達成度に応じて変動し、金銭をもって年次で支給する。
  • 中長期業績連動報酬は、株主総会において承認された総額の範囲内で、在任中に年次でポイントを付与し、退任時に信託型株式報酬制度を通じて1ポイント当たり当社普通株式1株を支給する。付与するポイントは、固定ポイントおよび業績目標の達成度に応じて変動する業績連動ポイントとする。なお、対象者に株式交付規程所定の一定の非違行為等があった場合、それが受益権確定日前に判明したときは当社普通株式の支給は行わず、また、受益権確定日後に判明したときは支給相当額の返還を求めることができることとする。
  • 短期業績連動報酬および中長期業績連動報酬のうち業績連動ポイントに相当する部分の指標は、東北電力グループ中長期ビジョンにおける財務目標である連結キャッシュ利益(外的な変動要因である燃料費調整制度のタイムラグ影響等を除いた額。)とし、目標値は毎事業年度とも3,200億円とする。支給額等については、目標達成度等に応じて変動する。
  • 業務執行から独立した立場にある社外取締役の報酬は、固定報酬のみで構成する。
  • 各人への配分は、役職ごとの役割の大きさ、各人の事務委嘱や職務の内容および責任範囲に応じて決定する。

手続

  • 各人の支給額等については、業務全般を統括する社長による決定が適切であることから、毎年、取締役会における社長一任の決議を経て、社長が決定する。なお、当該社長一任の決議は、客観性・透明性を確保する観点から、指名・報酬諮問委員会での審議を経て行う。また、上記一任を受けた社長による各人の支給額等の決定は、予め、指名・報酬諮問委員会での審議を経て定められた取締役(監査等委員であるものを除く。)に対する支給額等の総額の範囲内において行われるものとし、支給実績を指名・報酬諮問委員会に報告する。
    なお、監査等委員会は、取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬について、監査等委員会としての意見を決定のうえ、株主総会でその意見を述べることができる。

 監査等委員である取締役の報酬を決定するに当たっての方針および手続を以下のとおりとしています。

  • 業務執行から独立した立場にある監査等委員である取締役の報酬は、固定報酬のみで構成し、株主総会において承認された総額の範囲内で、金銭をもって月次で支給する。各人の支給額については、監査等委員である取締役の協議により決定する。

取締役会の実効性評価

 当社は、取締役会の実効性に関し、毎年、取締役を対象としたアンケートを実施し、その結果について取締役会に報告しております。取締役会では、アンケート結果に基づき、現状認識や改善に向けた意見等を共有のうえ、取締役会全体の実効性を評価するとともに、さらなる実効性向上に向けた取り組み事項等について確認することとしております。

〔アンケート項目〕
 アンケートの質問票の大項目は以下のとおりです。設問ごとに5段階で評価する方式とし、各大項目には自由記載欄を設けております。
 Ⅰ.取締役会の人数・構成、Ⅱ.取締役会への付議事項の範囲等、Ⅲ.取締役会での意思決定および監督、Ⅳ.取締役会の運営等、Ⅴ.取締役・監査等委員の支援体制と情報提供等、Ⅵ.指名・報酬諮問委員会の運営、Ⅶ.2022年度の重点取り組み

〔取締役会の実効性向上に向けた2022年度の取り組み〕
 2022年度は、取締役会の実効性向上に向け、主に以下の取り組みを進めてきました。

①中期計画に対するモニタリングの充実を図る観点から、経理管理に関するPDCAサイクルの検証を適切な時期に実施

②社内外取締役間の自由な議論・意見交換の充実を図る観点から、取締役会以外での懇談会等を計画的に開催

〔2022年度 実効性評価結果の概要〕
 2023年2月に実施したアンケートでは、全体の平均点が前回・前々回を上回る結果となり、全ての評価カテゴリーにおいて高い評価結果が得られました。また、同アンケートでは、実効性向上に向けた2022年度の取り組みに対しても高い評価結果が得られております。
 加えて、同アンケート集約後の2023年3月に開催した社外取締役全員による意見交換会の結果も踏まえ、2023年5月開催の取締役会において議論した結果、当社取締役会として、2022年度における取締役会の実効性は確保されていると評価いたしました。
 一方で、実効性をさらに高めていくため、取締役会として以下の事項に取り組んでいく必要性が確認されました。

①当社企業グループ全体の内部統制の充実に向け、グループ内部統制の現状および本質的な課題について認識を共有し、議論を深めていくこと

②事業上のリスク管理の実効性向上に向け、中長期的な経営課題の全体像や取り組みの進捗状況等について認識を共有し、効果的に議論を進めていくこと

 当社取締役会は、上記の点も含め、取締役会の実効性の維持・向上に引き続き取り組み、取締役会による適切な経営の監督を行うとともに、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

PDFコンテンツは以下のプラグインソフトをインストールすることでご覧いただけます。プラグインソフトをお持ちでない方は、バナーをクリックしていただき、アドビシステムズ社のサイトからダウンロードのうえご利用ください。

Get Adobe Acrobat Reader