次代へつなげ「我がこと」マインド 〜これまでの後方支援を振り返って〜

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 災害復旧時に技術部門を多面的にサポートする縁の下の力持ち、事務応援(後方支援者)。災害対応を「我がこと」として捉えるマインドの維持・向上を目的として、3月11日に応援関係者による発表会が開かれました。

能登半島地震対応で再確認した、当社グループのDNA

 発表会は本店大会議室で開かれ、約200名が聴講。加えてTeamsでも中継され、各支店・支社などから100名を超える社員がオンラインで聴講しました。

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司会の総務部(防災・危機管理)佐藤副長

 冒頭、開会あいさつで渡辺総務部長は「災害対応は持株・ネットワークが一体となって対応すべきもの。ネットワークだけのものでも、技術部門だけのものでもない。今日は東日本大震災から13年目の日だが、ここにいる方々の半分以上は東日本大震災以降の入社の方。自分ごととしてとらえることを将来に向けて伝承していくことが求められている」と話しました。

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 その後、応援派遣者らによる発表が行われました。

配電部(配電企画)居鶴 恭義 主査(配電応援者)

 「配電応援隊による復旧稼働の概要について」と題し、今年1月に発生した能登半島地震における北陸電力送配電への応援対応について発表しました。

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 応援は1月4日(木)~2月1日(木)まで実施され、延べ車両479台、人員994名にわたる大規模な応援となりました。現地では地震の影響で道路が破損し、宿泊場所から復旧現場に向かうだけで長時間を要する状況でしたが、バスを手配することで作業員の移動負担を軽減し、電源車対応や設備復旧作業にあたりました。また現地では断水によるトイレ事情の悪化もありましたが、後方支援隊が手配・維持した仮設トイレやトイレカーがとても役に立ったそうです。
 「今回の応援復旧は、『東日本大震災時に他電力から受けた応援の恩返し』。少しでも早い復旧を目指して応援隊全体が同じ気持ちで作業にあたった」と振り返りました。

総務部(防災・危機管理)黒須 裕太郎 さん

 「事務応援の主な任務および能登半島地震における対応概要について」と題して、事務応援の種類・業務内容や能登半島地震における応援の実績について発表しました。

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 事務応援には「対策本部応援」「リエゾン派遣応援」「配電帯同応援」の3種類があり、今回の対応では対策本部応援に37名、配電帯同応援に89名の計126名の社員が活躍。「これまで先輩方が脈々と受け継いできた知見や安定供給の使命感を、今度は私たちがブラッシュアップして次世代につないでいく必要がある」と訴えました。

総務部 法務室(株式)藤田 幹 さん、
総務部 法務室(法務)伊藤 浩明 さん、
新潟支店 地域共創本部(総務広報) 山本 優斗 さん

 「非常災害対応を通して感じた後方支援の必要性について」と題して、実際に能登半島地震において後方支援(対策本部応援)を行った立場から、当時の心境などを発表しました。

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左から藤田さん、伊藤さん、山本さん

 現地への派遣が決まった時は「遂に来たか。」「よし、やるぞ!」といった前向きな気持ちだったそうですが、自身の日常業務が滞ってしまうのではないかという不安や、ご家族からの心配など、少なからず葛藤もあったとのこと。しかし職場からは最大限のバックアップがあり、被災地で全国からの応援隊に交じって仕事をする中で、当社の役割や使命を再認識し、「より、そう、ちから。」のマインドを新たにしたそうです。「後方支援は直接被災地に電気を灯す作業をするわけではないが、作業員が復旧作業に徹するためには必要不可欠な存在であり、当事者意識を持つことが大切」と語りました。

福島支店 地域共創本部(総務広報) 樺山 貴大 さん

 「非常災害時の後方支援の役割について」と題して、第二陣において後方支援(配電帯同応援)を行った経験から、また過去の災害(東日本大震災、北海道胆振東部地震、新潟豪雪災害)において後方支援(配電帯同応援)を行った立場から、後方支援者として必要なマインドなどについて発表しました。

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 能登半島地震の発災当日は津波警報のため山形県鶴岡市の実家から高台へ避難。1月7日に被災地に入り、配電帯同応援として作業者の食料品の調達・運搬などを行いました。今回の能登半島では断水による簡易トイレ(と囲い)の必要性や食事を温める防災アイテムの重要性など、先の災害とは異なる知見が得られたそうです。「後方支援に行くたびにライフラインの重要性を再認識し、改めて電力社員としての『誇り』を感じる」という樺山さん。発表の最後にはこれまでの応援対応を踏まえ、「会社が変化していく中でも、災害対応の姿勢は変えてはならないもの(DNA)」「現地応援に行けるのは自身の職場を守っている方々がいるから」とまとめました。

後方支援者は災害復旧における必要不可欠なプレイヤー

 その後、各発表者によるパネルディスカッションも行われました。
 パネルディスカッションでは事前に集められた質問などを踏まえ、「派遣が決まった時の詳しい心境や周囲のサポート」「これまでの後方支援で辛かったこと・うれしかったこと」「後方支援に参加して感じる自分自身の変化」「後方支援者に求められるマインド」などについて発表者が意見交換を行いました。
 配電部の居鶴主査からは「後方支援者がいなければ我々の復旧作業は成り立たない。いつも感謝している。後方支援者の動きが、電気の復旧を待っているお客さまにつながっている」との言葉がありました。

 発表会の終わりに、五十嵐ソーシャルコミュニケーション部門長は「東日本大震災から丸13年のこの日にこれまでの対応を振り返り、次に備える意識を改めて社内で共有できたことは大変有意義。近年激甚化する自然災害に対して復旧対応がこれまで以上に長期化・困難化するおそれもあり、後方支援の重要性は一層高まっている。今日の発表を聞いて『現地へ派遣された人だけが後方支援隊ではない』ということを改めて意識した。派遣者が出た職場を支える人もまた後方支援隊であり、一人ひとりが自分にできることに取り組むことも後方支援の一種。有事に備え、グループとして災害への備えを高めていきたい」と閉会挨拶を述べました。

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