「東北電力グループ統合報告書2023」を超解説!

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 「東北電力グループ統合報告書2023」が9月29日に発行されました。東北電力グループ従業員必読ともいえるこの媒体について、東北電力 グループ戦略部門(サステナビリティ推進ユニット)の志賀さんにお話を伺いました。この記事を読めば、あなたも統合報告書を開いてみたくなってくる・・・!

統合報告書は「公式ファンブック」!?

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東北電力 グループ戦略部門(サステナビリティ推進ユニット)志賀さん

──はじめに、統合報告書とはどういうものなのか、教えてください。
 統合報告書は主に投資家をターゲットに、当社のことを紹介する媒体です。…というと、あまり自分には関係がないような感じがするかもしれませんが、統合報告書は、例えるならアニメや映画の「公式ファンブック」のようなものだと思います。
 例えば…

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──そう言われてみるとなんだか「東北電力公式ファンブック」に見えてきました・・・!
 すでに社外公開されている情報も多く含まれていますが、それらを改めて整理し、さらに有用な情報を追加して、「東北電力グループの中長期的な成長性を伝える」媒体としてまとめたのが統合報告書です。ファン(東北電力グループのことを深く知りたい人)にとって間違いなく役立つ一冊です。

■統合報告書・サステナビリティレポートはこちら↓
東北電力グループ統合報告書・サステナビリティレポート

 また、今年度も、ほぼ全てと言えるほど多くの室部の皆さんのほか、企業グループ各社さまにご協力いただきました。繰り返しの確認や修正にも対応してくださった関係者の皆さん、本当にありがとうございました。この場を借りて感謝申しあげます。

「東北電力と長く付き合う」ために、「今後の成長」を伝えたい

──「投資家向けの情報」というと財務情報をイメージしますが、統合報告書を見るとそれ以外の情報もたくさんありますね。
 投資家の方々は、当社と長く良い付き合いをするために「東北電力グループが今後も、中長期的に成長し、稼いでいけるのか?」を判断するための情報を求めています。
 そのため、統合報告書ではできるだけ将来の展望を具体的にお伝えできるよう、リスクや現状認識、それらを踏まえた戦略など、情報をよく検討したうえで掲載しています。また、一見、直接的には収益に結びつかなそうな取り組み(例えば人財戦略や人権の尊重など)も含めて、全ての取り組みが会社の持続的な成長に繋がるのだと読者が確信できるように、内容や構成も吟味しています。

──「稼いでいけるのか?」は私たち従業員にとっても気になるポイントだと思います。
 そうなんです。統合報告書は投資家向けに制作しているものですが、「東北電力グループと長く付き合っていく」という観点においては、当社グループの従業員の皆さんにも同じようにお伝えしたい内容になっています。
 事業を取り巻く環境は日々激しく変化しているため、つい足元の状況ばかり見てしまいがちですが、自分の会社やグループの「中長期的に目指すもの」「そのために今取り組んでいること」「今後の方向性」を理解することは、皆さんが日々行っている業務の意義について改めて考えることができる良い機会になるのではないかと思います。

見どころは、1にメッセージ、2に自分に関係あるページ。使い方は、無限大!

──従業員の皆さんに読んでほしいところはありますか?
 発行する前日の情報まで反映した非常にホットな媒体なので、「全部です!」と言いたいところですが(笑)、従業員の皆さんには、まずはトップメッセージやCFOメッセージ、担当役員メッセージなどを読んでいただきたいです!
 メッセージでは、「今一番伝えたいこと」を手短かにまとめているので、会社全体の動きを把握するのにとても役立つと思いますし、会社として今どんなメッセージを発信したいのかがわかるので、社外の方とのコミュニケーションにおいても参考になると思います。
 それに加えてぜひ見てもらいたいのは、「自分の仕事や働き方に関連するページ」です。統合報告書と同時に「サステナビリティレポート」(※)という媒体も発行していますが、この2つの媒体で紹介されているものは全て「東北電力が中長期的に企業価値を向上」するための戦略や取り組みです。各種の事業に限らず、それらを支える間接業務や人財戦略なども、東北電力グループの価値向上に重要な取り組みであるということをご理解いただければと思います。

※サステナビリティレポートでは東北電力グループのサステナビリティへの取り組みを網羅的に取りまとめて公開している

──ほかに、どのような活用方法があるでしょうか?
 会社の中長期的な成長に向けた取り組みが網羅され、かつ全てが社外に出せる情報なので、使い方も色々です!
 昇格試験を控えたあなた、親戚から会社の状況を問われたあなた、ぜひ統合報告書を開いてみてくださいね!

統合報告書作成作業のキモは…実は冬。

──統合報告書は、どのように制作しているのですか。
 実際に媒体自体が制作されるのは4月〜9月頃ですが、実は前年の12月頃から企画検討が始まっていて、こちらが統合報告書全体の出来を左右する、いわば制作にあたってのキモと呼べるパートかもしれません。統合報告書の発行後は、海外も含む投資家との対話などで当社グループ統合報告書に対する評価を収集しつつ、関係する室部との相談も進めて、翌年度向けのページ構成を組み立てていきます。

──企画検討で意識していることはどのようなことですか。
 統合報告書を作成するうえで外せないのは「どんな情報を開示すべきなのか」という視点ですが、開示すべき情報は、近年非常に速いスピードで変化しています。国際的な開示フレームワークは様々な議論がされていますし、国内でも例えば2022年度の有価証券報告書(2023年6月公開)においてサステナビリティ情報の開示が新たに義務化されるなど、社会からの要請はどんどん変化しています。
 こうした社会の要請に応えるためには、常に情報開示に関する知識をアップデートしていくだけでなく、当社グループの取り組み内容そのものの進化も求められます。
 そういった意味で、統合報告書の企画検討作業は「社会が当社グループに開示を求める情報を整理する」ことであり、「社会が求める取り組み」と「当社グループの取り組み状況」とのギャップを明らかにする、当社グループにとってとても大切な作業だと思います。
 また、制作作業の過程では他社の統合報告書も参考にしますが、会社によりそれぞれ違ったカラーがあり、読んでいて面白いです。ちなみに当社グループの統合報告書は、「まじめで誠実な東北電力グループらしさ」を感じる仕上がり…だと思っています(笑)

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サステナビリティ推進ユニットでサステナビリティ経営の高度化に挑戦!

 最後に、統合報告書の発行箇所である「サステナビリティ推進ユニット」についてご紹介します。
 統合報告書の制作・発行を含むサステナビリティ関連業務は、従来ソーシャルコミュニケーション部門が担っていましたが、今年7月にグループ戦略部門(サステナビリティ推進ユニット)に業務移管されました。
 サステナビリティ推進ユニットのミッションは、東北電力グループ全体のサステナビリティの取り組みを推進することです。
 このユニットが推進している「サステナビリティ」には、2つの側面があります。
 一つは、社会の持続可能性です。温室効果ガス排出や資源再利用、生物多様性などの環境面や、サプライチェーンも含めた人権などの観点で、東北電力グループの事業活動が社会に与える影響を把握し、その負荷の低減を図っています。
 もう一つは、東北電力グループの中長期的成長です。マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の解決を通じて、社会の持続的発展とともに企業価値向上を実現できるよう、東北電力の社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」を中心に、各主管部やグループ企業と調整しながら取り組んでいます。また、今回の統合報告書のように、東北電力グループの取り組みを発信し、ステークホルダーの皆さまとエンゲージメントを図っています。
 ユニットメンバーは事務系9人、技術系4人。サステナビリティに関する社会潮流は変化が激しいことから、メンバーの皆さんは、社外セミナーを受講したり、サステナビリティに関する専門書を購入して勉強したりと、日々研鑽に励みながら、サステナビリティ経営の高度化に挑戦しています。

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東北電力 グループ戦略部門(サステナビリティ推進ユニット)の皆さん