おらほのNo.1〜新潟〜 新潟の食文化を伝える「笹だんご」〜新潟県新潟市・田中屋本店〜

■火力部門■「東新潟火力発電所 港1号機および港2号機 発電納め式」開催 イメージ

 ふっくらと甘く、どこか懐かしい味の、米どころ新潟が生んだ名物「笹だんご」。 茶菓に、土産に、最適な越後銘菓「笹だんご」の美味しさを一人でも多くの方に知っていただきたく、今回、新潟支店の担当者が笹だんごで有名な田中屋本店(新潟市)を取材しました。

「新潟のソウルフード」笹だんご

 「笹だんご」は、あんこをヨモギ入りのだんご生地でくるみ、笹の葉で包んで蒸しただんごで、子どもから大人まで広く愛されている、まさに「新潟のソウルフード」。
 約500年前から新潟県の中越・下越、福島県会津地方の一部で食べられ、旧暦の端午の節句(5月5日)に田植えを終えた祝いを兼ねて、各家庭で自慢の物を作って親戚などに配る習わしが由来であるという説のほか、上杉謙信が出陣の携帯食として考案したという説など、諸説あります。
 笹だんごはもともと、年貢米にならない欠けたクズ米を美味しく食べるための知恵から生まれたもの。砂糖などが貴重であった昔は家庭のおかず(きんぴらごぼうなど)を包み、忙しい田植えの時期には中間食、小腹を満たすおやつなどの役割を担っていたそうです。
 笹の葉を使っているのは、笹で巻いて蒸す工程における抗菌効果だけでなく、笹自体の防腐効果で日持ちさせるためでもあります。笹だんごは、昔の人から受け継がれた知恵の結晶なのです。

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笹だんごは新潟のソウルフード

笹だんごの一番店・田中屋本店の笹だんごづくりへのこだわり

 創業92年(1931年創業)、和菓子・餅菓子・おにぎりの製造販売専門店で、新潟市を中心に「笹だんご」の一番店として市民に親しまれている田中屋本店では、伝統的な製法を守りつつ、原料にもこだわっています。
 今回ご案内していただいた、田中屋本店 取締役販売部長の田中幸江さんは「お米は新潟県産の厳選された良質米を、小豆は北海道産、ヨモギは新潟県産を主に使用しています。笹を巻くイグサを含め、材料全てにおいて自然を生かし、自然に帰しています。『自然の美味しさ自然のままに』、ふるさと新潟の味を守り続けています」と、笹だんごづくりにかける思いをお話しいただきました。
 また、田中さんは「当店で作る笹だんごの特徴として、手作りはもちろん、“モノを足さない“、すなわち、保存料や着色料を使わない無添加であることが挙げられます。昔、おばあちゃんやお母さんが、子どもや孫に食べさせていたような、家庭で作っていた味に近いものをお届けしたいと思っています」とお話しされていました。

笹だんごの一番店・田中屋本店の笹だんごづくりへのこだわり イメージ1

ご案内くださった田中さん イグサの結び方は地域により異なるそう

笹だんごの一番店・田中屋本店の笹だんごづくりへのこだわり イメージ1

新潟県産をはじめとするこだわりの素材

地域とともに、見て・作って・味わえる体験型ショップ「みなと工房」

 2007年には、越後名物「笹だんご」をより広く知ってもらうため、体験型ショップ「みなと工房」をオープン。笹だんごの実演販売をはじめ、米どころ新潟にふさわしい餅菓子を中心とした季節の和菓子やおにぎり、手作りソフトクリームなどもあります。
 田中さんは「出来たてをお楽しみいただきたく、店頭では、笹だんごの笹巻きをご覧いただくことができます。笹だんごを単なるお土産としてではなく、新潟の食文化としてお伝えしていきたい。そんな思いのもと、商品を作っています」と話します。
 また、工房内で展開している『笹だんご講座』では、笹だんご作りの体験だけでなく、食育の観点から笹団子をより深く知っていただくような内容としており、学校の総合学習や地域のレクリエーション活動などで好評を得ています。
 さらに、工房内は、一部をギャラリースペースとして地域に開放し、絵画展や写真展などを随時開催。この点について田中さんは「長年、この地でお店を続けることができているのは、ひとえに地域のお客さまのおかげ。そんな支えてくださっている地域のお客さまに何かお返ししたい気持ちで、工房内を無料のギャラリーとして開放しています。商品をお求めになるだけでなく、地域の皆さんが集う場所としても多くの方に足をお運びいただきたいです」と話されていました。

地域とともに、見て・作って・味わえる体験型ショップ「みなと工房」 イメージ1

みなと工房内では季節の和菓子やおにぎりなどを購入できる

地域とともに、見て・作って・味わえる体験型ショップ「みなと工房」 イメージ2

間近で笹だんごを作る様子を見ることもできる

地域とともに、見て・作って・味わえる体験型ショップ「みなと工房」 イメージ3

2階はギャラリーとして開放し、好評を得ている

笹だんごづくりに挑戦!

 折角の機会でしたので、蒸す前のだんごを3枚の笹で包んで、イグサで結える作業「笹巻き」を新潟支店担当者が体験させていただきました。
 店員の方が笹巻きする様子を事前に拝見しましたが、驚きの手際の良さ。蒸し上がりの状態を想定し、だんごのお腹の部分を良い按配で締めて形を整えていきます。田中屋本店で早い方は1つあたり20秒ほどで巻き終えることができるそうです!ちなみに筆者は、どう頑張っても1つあたり3分以上はかかる始末・・・。改めて、熟練の技であることを実感しました。
 笹巻き後は、蒸し器に入れて、20分蒸したら完成!笹とヨモギの香り、そして出来立ての柔らかさに、取材スタッフ一同、感激しました。
 なお、笹だんごを食べる際は、笹をバナナの皮のように剥くのがポイント。昔、農作業の休憩時などに食べられていたように、手が汚れていても食べることができる、また手を汚さないで食べることができる、そんな食べ方だそうです。

早い方は1つあたり20秒ほどで巻き終えることができるそうです

押さえておくべし、田中屋本店のおすすめ商品

 今回取材でお世話になった田中屋本店さまより、おすすめ商品をご紹介いただきました。

➀「桜餅」
 春の定番、特にひな祭りには欠かせない「桜餅」。道明寺粉(水に浸したもち米を干して荒めに引いたもの)のつぶつぶの食感と、桜のふんわりとした香りが、ほどよく甘いあんこの美味しさを引き立てます。
 なお、新潟の食は関東風のものが多い中、桜餅は道明寺粉を蒸した生地で餡を包む「関西風」です(対して「関東風」は、水溶きした小麦粉をクレープ状に焼いた皮で餡を巻く形)。

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桜餅

➁「豆入福餅」
 もちろん新潟県産もち米100%の「豆入福餅」。あっさりとした味わいの人気商品で、つぶあんたっぷり、食べ応え抜群の豆大福です。緑茶によく合う間違いない茶菓子!

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豆入福餅

➂「正油団子」
 新潟米使用のコシの強さが魅力の、田中屋本店のいち押し商品「正油団子」。みたらし団子よりも甘めで、たれが緩めなのが特徴です。みなと工房では、焼きたてに温かいたれを付けて食べることができ、その美味しさはぜひ皆さんにも一度は味わっていただきたい一品です。

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正油団子

電力ビル新潟の無線鉄塔を「笹だんごグリーン」にライトアップ中
 新潟支店、新潟支社、新潟電力センターが入居する電力ビル新潟(新潟市中央区)では、「新潟愛」を表現するとともに、地域を盛り上げる観点から、2022年より、ビル屋上の無線鉄塔を笹だんごにちなんだ「笹だんごグリーン(黄緑)」を含む計7色に点灯中(15秒おきに変化)。
 新潟市内でライトアップがよく見えるスポットは、新潟が誇る国の指定重要文化財「萬代橋」や、電力ビル新潟の真横に位置し、新潟ならではの食材やお菓子、雑貨に至るまで、個性豊かなお店が並ぶ新潟の台所「人情横丁」が挙げられます。
 新潟市内散策で近くにお越しの際は、電力ビル新潟のライトアップをぜひご覧ください!(点灯時間:毎日日没〜21時頃、節電の観点から照度を落として点灯中)。

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「笹だんごグリーン」に輝く電力ビル新潟の無線鉄塔

出来たての味を求めて、ぜひ新潟へ

 いかがでしたでしょうか?この記事とともに、本当は、出来立ての笹だんごのヨモギと笹の優しい香り、出来立ての柔らかさもお届けしたいところですが、読者の皆さまにおかれては、観光やお仕事で新潟にいらっしゃった際のお楽しみの一つとして、ぜひ皆さんご自身でお試しいただければと思います。
 なお、田中屋本店の店舗は、新潟市内を中心に直営店が11店舗あり、電力ビル新潟の近くですと、ビルからすぐの「本町店」のほか、萬代橋近くの「みなと工房」、新潟駅構内の「新潟駅ビルCoCoLo店」が比較的アクセスしやすいかもしれません。
 新潟土産として、みなとまち新潟の情緒・味・ビジュアルともに間違いなしの「笹だんご」。機会を捉えてぜひご賞味ください!

<田中屋本店 みなと工房>[田中屋本店 / 越後名物笹だんごの店 (dangoya.com)

  • 住所:〒951-8013 新潟県新潟市中央区柳島町1-2-3
  • アクセス:JR新潟駅万代口より徒歩約26分/新潟観光循環バスで歴史博物館前下車、徒歩約3分
  • 電話:025-225-8822
  • 駐車場:15台(車いす使用者用2台含む)
  • 時間:9:00〜18:00(12月31日16:00、1月2日17:00、冬季12月〜2月は9:00〜17:30)
  • 定休日:年中無休(元日を除く)