「おらほのNo.1」〜山形〜まだまだ知られざる山形の「熱い」芋煮の魅力をご紹介

「おらほのNo.1」〜山形〜まだまだ知られざる山形の「熱い」芋煮の魅力をご紹介 イメージ

 皆さんは、山形県の一大イベント「日本一の芋煮会フェスティバル」をご存じでしょうか。この「日本一の芋煮会フェスティバル」は山形商工会議所青年部のメンバーが、山形市や様々な企業などと官民一体となって企画しているイベントです。 今回は、山形県の代表的な郷土料理である「芋煮」について、実行委員の熱い思いを交えながら、まだまだ知られざる芋煮文化をご紹介します!

芋煮の歴史

 芋煮の発祥は1600年代半ば、現在の山形県東村山郡中山町長崎地区からと言われています。中山町長崎地区は、上方から酒田経由で運ばれてきた荷物の取引が行われる場所でしたが、当時は船が到着したことを知らせる通信手段がなく、舟の船頭たちは荷受人が現れるまで何日も待たされることがありました。このため、退屈をしのぐために河原で鍋を囲んで宴を開いていたといいます。船着場の近くに里芋の名産地・小塩集落があったため、手に入れた里芋と積み荷の棒ダラなどを鍋で煮て食べていたそうです。これが現在の芋煮のルーツと伝えられています。

芋煮の号砲 日本一の芋煮会フェスティバル!

 山形県の芋煮会シーズンは、「日本一の芋煮会フェスティバル」を皮切りに始まります。
 このイベントは、山形の食文化である秋の芋煮会の魅力を全国に発信するために「日本一の鍋で芋煮会をしよう」との掛け声のもと1989年から行われています。
 「日本一」である最大の理由は、大鍋を使った調理方法です。直径6.5メートル、重さ4トンという規格外の巨大鍋「鍋太郎」(現在は三代目)を使用して芋煮を作ります。この鍋太郎は1000年もの歴史がある山形鋳物で作られています。大きすぎて公道を通れないため、初代鍋太郎が完成したときはヘリコプターで運んだとか…。
 使用する材料は牛肉1.2トン、里芋3トン、長ねぎ3500本、こんにゃく3500枚、しょうゆ700リットル、日本酒50升、砂糖200キログラム、山形の水6トンと規格外の多さ!食材、水、酒、薪など、芋煮を作る際に必要な砂糖以外の材料は山形県産を使用しており、作られる芋煮は約3万食分にもなります。
 調理器具もダイナミックで、建設工事などの現場で使われる「移動式クレーン仕様機・バックホー」を使用。もちろん衛生管理も徹底されています。使用にあたって前提となる条件はふたつ。@生産されてから間もない車体であること、A利用歴のない新品下ろし立ての車体であること、としています。納品されたあとも、オイルやグリスを除去したり、大鍋に浸すアームの可動部分を分解し一つひとつ家庭用洗剤で洗浄したり、潤滑油の代替として食用バターを塗り込む徹底ぶりです。

芋煮の号砲 日本一の芋煮会フェスティバル! イメージ1
芋煮の号砲 日本一の芋煮会フェスティバル! イメージ3

実行委員長の鈴木將由(すずき まさよし)さんにインタビュー

 日本一の芋煮会フェスティバルは、山形商工会議所青年部が中心となり構成された実行委員によって企画され、メンバーは毎年入れ替わります。
 今回は、9月18日に開催された第34回 日本一の芋煮会フェスティバル 実行委員長の鈴木さんにその熱い思いを伺いました。
 「”芋煮を提供する”ということが日本一の芋煮会フェスティバルの共通部分で、それ以外は実行委員に任されている」と語る鈴木さん。先輩方よりアドバイスや叱咤激励を受けながら、その年の実行委員同士で意見を出し合い、毎年違った特色を出すように努めています。「第○回と一緒だったね、同じことをやっていたね、とは言われたくない」と、自らの手で作り上げる芋煮会フェスティバルへのこだわりと情熱を語ってくれました。今回、新型コロナウイルス対策として初めて導入したのが電子チケット。事前にインターネットで受付をしていれば、短い待ち時間で大鍋の芋煮を食べられます。
 「芋煮はシンプルな食べ物なので大勢で食べてほしい」と話す鈴木さん。運営に関しても「芋煮を通じて他業種の方と密に関わる場になっている。イベントは大変だけれども、イベント終了後、離れ離れになっても、苦楽を共にした、いわば同じ“鍋”の飯を食う仲は一生の付き合いになる」とのこと。悩みや苦しみの先にある何かを見つけるのも、企画・運営の魅力だとか。山形経済の次代を担う方々で結束を高める1つの機会なのかもしれません。
 芋煮のおすすめの食べ方についてもお聞きしました。鈴木さんおすすめの味は「しょうゆ」。アレンジを加えた芋煮もおすすめで「芋煮カレーうどん(芋煮+カレールー+うどん)」や塩味にした「うま塩鍋(しょうゆを鍋キューブに変更)」もおすすめと言います。皆さんもぜひお試しください!

実行委員長の鈴木將由(すずき まさよし)さんにインタビュー イメージ1

「第34回 日本一の芋煮会フェスティバル」実行委員長の鈴木將由さん
好きな芋煮は、しょうゆ味・大根入りの奥さんお手製の芋煮だそうです

地域によって異なる味

 最後に山形県の芋煮の味付けについてご紹介します。
 「日本一の芋煮会フェスティバル」では開催地の村山地域にちなんで、しょうゆ味に牛肉、里芋、長ねぎなどの具材を使って調理しますが、地域によって味付けや具材の種類が異なります。定番の里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎに地域のよっては人参や大根、きのこなども入れます。庄内地域では、豚肉にみそ味というのが定番です。

【写真提供:おいしい山形推進機構】

 山形県は9月18日の「日本一の芋煮会フェスティバル」という号砲で、芋煮シーズンが到来しました!お気に入りの味を見つけて、ご家族やご友人の皆さんと芋煮を楽しんでみてはいかがでしょうか♪