「秋田をラートの聖地に」世界王者・高橋 靖彦さんの挑戦

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 東北・新潟の知られざる魅力をお伝えする「おらほのNo.1」!
 今回は、ドイツ発祥のスポーツ「ラート」で秋田を盛り上げるべく活動している、ラート世界王者の高橋靖彦さんにお話を伺いました。

野球から新たな道へ〜ラートとの出会い

 「ラート」とは、二本の輪をつないだ器具を全身で操り、技の難度や美しさを競う体操競技です。子どもから大人まで誰でも三次元の回転ができるため、生涯スポーツとしても注目されています。
 秋田県仙北市角館町出身の高橋靖彦さんはこの「ラート」の世界王者(2013・2015・2018年世界選手権優勝)で、現在は秋田を拠点に競技に取り組むほか、普及活動にも力を入れています。今回は、世界で活躍している高橋さんに、秋田支店の担当者とマカプゥがお話を伺いました。

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 小学校から高校まで野球一筋でしたが、大学進学後に足首のけがが悪化。コーチとして野球に関わるという道もありましたが、選手としてやりたいという気持ちのほうが強かったので、違う道に進むことを決めました。
 当時は教員を目指していたこともあり、苦手としていた体操を克服しようと入部した体操部でラートと出会いました。始めてみると、技ができるようになる過程が楽しく、大学4年時には全日本選手権で5位に入るまでに。世界選手権の切符を手に入れることができました。

 卒業後は東京の企業に就職し、社会人1年目の5月に世界選手権に出場。結果は予選落ちでしたが、心のどこかで「本気でやれば世界一を目指せるのではないか」と感じました。ただ、社会人と選手の両立では練習時間も限られてしまうということもあり、「自分の人生、自分が後悔しないようにしたい」という思いから、一年で退職を決断しました。
 その後大学院へ進学し、ラートに集中できる環境を整えるとともに、子どもから高齢者までさまざまな世代に体操を教える体操コーチング論を専門とした学びを深めました。この学びは今の教室運営にもつながっています。
 大学院での3年間、試合ではなかなか満足いく結果が残せない日々が続いていました。「この1年でダメだったらラートをやめよう」と背水の陣の覚悟をもち、音楽や衣装などさまざまな工夫をして臨んだのが2012年の全日本選手権でした。そこで初優勝し、翌年の世界選手権ではアジア人として初めて、個人総合優勝を達成することができました。

地元・秋田に戻ってくる決意

 いつかは地元秋田で何かをやりたいという思いがあった中、秋田のプロバスケットボールチームである秋田ノーザンハピネッツの水野社長から声をかけていただき、2014年に秋田で初開催されたbjリーグオールスターゲームの会場でパフォーマンスを行いました。
 このご縁がつながり、2018年からは秋田ノーザンハピネッツに所属することとなり、現在は秋田を拠点に全国各地でのラートの体験会およびデモンストレーションを実施しているほか、幅広い世代を対象にラート教室も行っています。

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 また、「秋田でラートの国際大会を開催したい!」という目標に向け多方面に働きかけ、第9回世界ラートチームカップの秋田開催(アジア初開催)を実現。大会実行委員会事務局長として大会招致から開催に尽力し、日本代表の主力としても準優勝に貢献しました。

キーワードは「秋田をラートの聖地に」

 ラートの魅力をたくさんの人に知っていただくために、念願だったラート教室もスタート。現在秋田市で開催している教室には、小学生から60歳代まで幅広い年代の生徒が通っています。「普通の習い事は『年代別』にクラス分けされることが多いと思いますが、ラートは年齢性別関係なく、子どもから大人まで一緒に取り組むことができます。お互いに補助しあうことが必要な競技ですので、自然とコミュニケーションが生まれ、世代を超えて楽しく参加できることが魅力の一つです」と語る高橋さん。

 最後に、今後の目標について伺いました。
 「秋田をラートの特別な場所にしたいと考えており「秋田をラートの聖地に」をキーワードに掲げています。今後も大会招致、イベントや講習会を通じて秋田に人を呼び、コミュニティが広がることで地元秋田が盛り上がっていけば嬉しいですね」

 5月23日〜28日にデンマークで開催される世界選手権への出場が決まっている高橋選手のさらなる活躍を、これからも応援していきたいと思うマカプゥでした。

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※取材は、4月末に行いました

高橋さんの最新情報はこちら「高橋靖彦オフィシャルWEBサイト」