みなさんは「寄席」を鑑賞したことはありますか?
仙台には東北初の寄席「魅知国定席 花座(みちのくじょうせき はなざ)」があります。日本の文化や言葉の面白さ、笑いの世界をマカプゥがご案内します。
魅知国定席花座は2018年4月、仙台市一番町商店街の一角に開場しました。三大都市圏以外では唯一の定席です。
江戸、明治時代からあった小ぶりの寄席を再現し、大きな会場や学校公演とは違い、マイクを使わない演者の息遣いを臨場感たっぷりに感じることができる究極の演芸ライブスペースです。
「仙台では東北楽天ゴールデンイーグルス、ベガルタ仙台、仙台89ERSなどプロスポーツが盛り上がりをみせています。また、定禅寺ストリートジャズフェスティバル(9月開催の音楽イベント)や仙台フィルハーモニー管弦楽団など様々な音楽文化も定着しています。その一方で、街の文化に必要な大衆演芸が根付いていないと感じていました」と話すのは魅知国定席「花座」席亭(経営者)の白津守康氏。
仙台商工会議所青年部会長も務め、昔から落語を愛していた白津氏は「大衆芸能を東北に根づかせたい」との思いから、街づくりコンテンツの一つとして、月に1回、仙台市内の百貨店の一部を借りて魅知国仙台寄席を、2010年からスタート。
当時、多くのお客さまにとって落語・寄席は初体験。噺家よりも緊張しており「面白かったら笑っていいんですよ。拍手や声を出して楽しんでください」とお伝えし、寄席を楽しんでもらいました。
そんな中、転機となったのが「東日本大震災」。
電話が繋がるようになったある日、「いま避難所にいるけど、4月の寄席はやるのか」との問い合わせ。
水道やガスがまだ止まっている地域もあり、「それどころじゃない」と思っていた白津氏は、このような状況下でも落語を聞きたいという人が存在することに驚き、感動したといいます。
急遽、居酒屋の2階を借りて寄席を開いたところ、客席は大入り。明るい笑い声が会場いっぱいに響き渡りました。
人は大変な状況でも「笑い」を求めるもの、と改めて実感したと振り返ります。
やがて「月1回じゃ物足りない」という声が多く上がり、常設の寄席をつくることを決心。
当時、落語芸術協会会長の故 桂歌丸師匠にその話をしたところ「おれが名誉館長やろうか」と言ってくださり、2018年4月に魅知国定席花座がオープンしました。
花座の魅力はなんといっても、演者との距離の近さ!東京「新宿末廣亭」や名古屋「大須演芸場」などと比べ、ひとまわり小さい花座。え,こんなに近いの?というほどの距離で、東北で活躍する漫才師、マジシャンから春風亭昇太師匠ほかテレビでおなじみの芸人まで、幅広いジャンルの方のステージを楽しむことができます。
ところが・・・
開業し、2周年を迎えようとしていたタイミングで、コロナ禍に突入。
公演中止を余儀なくされた時期もありましたが、感染対策をしっかり施しながら、現在も笑いの場を提供しつづけています。
東北電力宮城支店では、花座に協賛していることもあり、2021年には花座に出演する宮城県東松島市出身のお笑いコンビ「ニードル」に当社創立70周年のPR漫才をつくってもらい、創立記念日である5月1日のベガルタのホーム戦が行われるユアスタのピッチ上で来場者へ披露するという、コラボ企画も実現!
驚いたのは漫才完成のスピード。初回打ち合わせでお客さまに伝えてほしいコンセプトをニードルのお二人に伝えたところ、その場で掛け合いが始まり、あっという間にネタが完成しました。
イベント当日は、スタジアムに詰めかけた多くの来場者に漫才を聞いていただき大成功でした!
「お笑い」は、伝えるのが難しいことを聞き手にうまく印象づけ伝えることも魅力のひとつ。宮城支店では、笑いの力をお借りし、会員制webサービス「よりそうeねっと」やイベント&おトク情報コンテンツ「おでCafe」、各種イベントなどで花座や噺家との連携を深めていく予定です。
最後に、白津氏はこう語ります。
「笑いと感動をお届けするのが花座の使命」
「これからも、より楽しめる芸人さんたちがこの花座に登場いただけるよう努めていくのはもちろん、花座に前座時代から来ている桂宮治師匠(笑点新メンバー)のような、スターを育てていくのも花座の役目と考えています」
「また、YouTubeチャンネルなどデジタルツールを活用し、会場へ足を運ぶことができない地域の方々にも寄席を気軽に楽しんでいただきたいですし、修学旅行や学習研修などにおいて子供たちへ大衆芸能に触れる役目を担っていきたいと考えております」
花座の挑戦はまだまだ続きそうです。
ぜひ、花座へ足をお運びください。