電気業界の中でトレーディングの先駆者として、その地位を確立している東北電力エナジートレーディング。大きな変革期を迎える電力業界において、市場の動きを読んで利益創出力の強化を図る、同社の取り組みを紹介します。
電力・燃料の統合的なトレーディングや金融市場の活用を通じ、事業リスクを的確に管理するとともに、競争力のある電力の調達・供給を目指す東北電力エナジートレーディング。業界全体を取り巻く総括原価からマーケット化の流れの中で、電力業界でも先進的な取り組みである電力取引市場を活用した卸電力の売買による収益力の強化などにおいて、大きな成果を挙げています。また、新たな事業領域にも積極的かつ先見的に対応しています。
社内では、東北電力からの出向者に加え、大手電機メーカーや外資系金融機関、総合商社、IT企業など、多様な経歴を持つスペシャリストが活躍しています。
電力トレーディング部シニアトレーダーの奥田紘一郎さんの一日は、新聞や海外サイト、SNSなどのメディアに目を通すことから始まります。始業後は、マーケットレポートの作成やチームミーティング、関係者とのディスカッションなどを行いながら、常にマーケットの動きも注視。マーケットに海外勢の参加が始まる夕方になると、さらに取引が活発化します。常に予測不能な市場の荒波の中で、集中力を保ちながら業務を行うのは心身ともに想像以上に過酷なもの。そのため多忙な中でも、昼休みや退社後にはジムなどで体を鍛え、心と体をリセットしています。
業務の進め方はトップダウンという中でも、個人の意見を出すことができ、さらにその方法が正しいと判断された場合は自分なりに進めることができるなど、風通しの良さや意思決定の方法がスムーズなところが同社の持ち味だと感じています。
東北電力と一体となって、電力の安定供給を前提に、電力と燃料の市場価格動向を見ながらより経済的な運用になるよう、電力先物市場などを活用しています。先々価格が上昇する可能性があれば、経済性を追求して市場から少しでも値上がり幅を抑えて調達できるようにするなど、常に一歩先のさらに先を見据えて業務を行っています。
トレーディングにおいては、常に動きのある市場の動向を予測して取引するため、取引が順調に進む場合もそうではない場合もあります。自分が書いたマーケットコメントが間違っていたとしても、一定のものを出し続けなければならない、また取引が見通し通りにいかなくても、必要な取引をしなければなりません。集中力を保ち続けて、常にフラットな状態で業務を続けることが、一番難しいところだと奥田さんは感じています。
電力が市場化されたことで、海外の市場動向が日本の電力価格に及ぼす影響を考えながらオペレーションに取り組む奥田さん。市場の実態に即した電力の在り方が、電力事業の根幹や窓口になると考え、グループ全体で共有しながら組織づくりをしていくことを目指しています。