福島県沖地震による被害を受けた火力発電所の早期復旧に向けて

福島県沖地震による被害を受けた火力発電所の早期復旧に向けて イメージ

 2月13日に発生した福島県沖を震源とする地震により、太平洋沿岸の火力発電設備が大きな被害を受けました。被害を受けた設備の点検に奮闘する発電所所員を紹介します。

ボイラー復旧の作業に奮闘、原町火力発電所(技術G)藤原 雄太さん

 原町火力発電所1・2号機は、福島県沖地震により主にボイラー配管が損傷したことから、安全確保のためプラントを停止しての修理が必要な状況となりました。
 私が担当する2号機ボイラー設備は、地震の揺れにより東日本大震災時と類似箇所が損傷している状況が確認されました。
 このため、復旧に当たっては、顕在化している不具合箇所の修理はもちろんのこと、潜在的な不具合がないかを確認するため、東日本大震災時の工事記録から当時不具合が確認された箇所を徹底的に調べ、重点的に点検しました。
 また、毎日朝夕2回、プラントメーカーなどとのミーティングを行い、「安全に作業を行うこと」、「一日でも早く復旧すること」を両立する最適な補修方法を検討し、実施しました。
 その結果、2号機は3月29日に運転を再開し、延べ44日間で復旧することができました。発電所の出力が1000MWに到達した時は、復旧した達成感と、全国から集まっていただいた工事関係者の皆さまへの感謝の気持ちでいっぱいでした。
 今回の経験で得られた迅速かつ柔軟な対応力、危険への想像力を糧とし、現在行っている1号機の復旧工事も同様に、安全作業で高品質に早期復旧を目指していきます。

蒸気タービン復旧作業に奮闘、新仙台火力発電所(技術G)中村 恭平さん

 仙台火力発電所4号機は、ガスタービン、蒸気タービン、発電機それぞれに被害が確認されました。私が担当する蒸気タービンは、地震で設備全般が大きく揺らされ、回転部品と静止部品との接触等による変形や損傷など、大きな被害が確認されました。蒸気タービンに変形や損傷がある状態のまま運転すると振動が発生し、タービン本体の損傷につながる恐れがあります。今回の復旧工事においては、それらの損傷が確認された部品の取り替えを行います。取替部品の製作には工場で4カ月程度の期間を要するため、まずは、損傷した部品で組み立てを進め、新規部品納入後に当該部品だけ取り替えるなど、工法を工夫しながら行うとともに、他の設備においても今後の安定運転に支障がないよう入念に点検を実施しています。
 私は東日本大震災当時、秋田火力発電所に勤務しており、被災した太平洋側のプラントが停止し供給力が不足する中、秋田火力発電所3・4号機の安定運転に努めておりました。今回は、被害を受けた発電所の復旧工事の担当者として直接対応しているという高い使命感のもと、関係会社やメーカーと協力し、従来と異なる方法を工夫・検討するなどして、一日でも早い仙台火力発電所の復旧を目指しています。