冬の恵み「白い石炭」を有効活用する水力

冬の恵み「白い石炭」を有効活用する水力 イメージ

 今冬は、秋田県横手市や新潟県上越市で記録的な大雪となり、年末から年始にかけては、寒波により需給がひっ迫する事態となりました。その雪も溶け、水の流れを動力源とする再生可能エネルギーの元祖である水力発電は融雪出水のピークを迎えています。

白い石炭

 水力発電所は、今年70周年を迎える東北電力の創業以前から運転しており、1世紀以上の歴史を持つ発電所も多くあります。当たり前の話ですが、水力発電所を運転するためのエネルギーは、昔も今も「水」です。冬期間、毎朝の除雪などで皆さんを苦しめる雪ですが、水力発電所に携わった先人からは「雪は白い石炭」という言葉が言い伝えられています。火力発電所の燃料であり、かつて我が国の基幹産業であった石炭をもじった言葉ですが、水力部門としては、人里には少なくていいので、山には、どっさり雪が降って貰いたいと願っています。

融雪出水

 冬に積もった雪は、春には溶けて水に変わります。この雪解け水が河川に流れ込み、水力発電所のエネルギーになります。これを融雪出水といいます。今年は、気象庁が統計を取り始めて以来、3月の平均気温が例年より3℃程も高く、例年では4月〜5月頃に溶けて水になる「白い石炭」が2月〜3月で半分以上が溶けてしまいました。
 この融雪出水期には、恵みの水と一緒に、積雪の重みにより折れた枝なども流れてきます。そして河川から発電所に水を引き込むための取水口に多量の枝や落葉(塵芥)が付着し、水力発電所の運転に支障をきたします。現場を保守する発電技術センターは発電所を停止させないために、春先は除塵作業など現場対応に汗をかく日々が続きます。

水力運用センターにおける運用

融雪出水 イメージ

水力運用センター監視制御室

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只見・阿賀野川水系断面図

 会津若松市に位置する水力運用センターは、遠く離れた青森県から新潟県までの東北電力管内の205個所の水力発電所やダムを24時間体制で監視制御しています。融雪出水は、地域や月間、週間でも大きく異なる他、一日の中でも気温が高くなる昼間と冷え込む夜間では河川に流れ込む水の量に差が生じます。そして、梅雨期をはじめとする季節、天候の変化でも河川流量は大きく変わります。水力運用センターでは、河川の水位や流量の変化を示す様々なデータをにらみながら、ダムや発電所の運用をしています。 特に、当社水力発電容量の6割を占め、ダムと発電所が階段状にある只見・阿賀野川水系(TA系)では、上流から下流までの水の恵みを、いかに無駄にすることなく発電できるか、を考え、日々、運用しています。